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第10話

「俺の親、離婚寸前なの!本当に迷惑かけたくないんだ…」 「そう言われてもなあ、親は親だから誘拐だとかって言われるとこっちとしても困るんだよな」 「じゃあ……じゃあ俺がココにいることは言わないって約束してから電話して」 「……わかった、約束する」 どういう状況か、本当にそうなのか、電話してみないと分からない。 もしかしたら、本当にもしかしたらだが、栗原が危ない目に遭う可能性もゼロではない。 …プルルルルル プルルルッ 「はい、栗原ですが」 「お世話になっております。栗原綾さんのクラス担任の広瀬です」 「はぁ、うちの息子が何かしたのでしょうか」 ちょっと、変わってるかもしれない。 俺が言うのも何だが、愛想は気にしない人らしい。 「いえいえ、問題もなく勉強もほどほど……」 「で、どんな用件?」 早く電話を切りたいことが伝わる。 これは忙しいからなのか?栗原の話が嫌なのか? 「……綾さんは今、ご在宅でしょうか?」 「ええ、部屋で寝ていると思いますよ」 「そうですか。昨日体調を悪そうにしていたので大事になってないと…」 「大丈夫ですから」 …ププッ ツーツー すぐ、電話を切られてしまった。 少しの会話だけで、何かが分かった気がする。 電話が切れ、横を見ると栗原が心配そうに見つめていた。 「え?!直ちゃんどうしたの?」 「……なんでもない」 俺は、栗原を思いっきり抱きしめた。 「なあ、栗原」 「う、うん?」 「いろんなことが落ち着くまで、ここに住め」 教師としてはありえない、こんなことを口走って。 「え?!直ちゃんダメだよ!そんなこ…んんッ」 「ちょっと黙って」 「んんっ…ふぁ、ぁっ…んッ…はぁ…」 俺は、どうかしたんだろう。

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