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第1話:期待の新生活、フタを開けてみれば……

「修吾……一緒に住もう」  隆幸さんがいつもにこやかな顔を消し、真顔で俺にそう告げたのは二月の終わりだった。  付き合って三年目。まさか隆幸さんから切り出してくれると思わなかった。  もちろん俺の答えは決まってた――満面の笑みで頷く。これ一択だった。  俺はフリーライターで、隆幸さんは多忙な肩書き付きのサラリーマン。  なかなか時間を合わせられなくて、月に一度会えればいいほう。そんな生活が続いていたから、同棲の話は嬉しくて仕方がなかった。  これから毎日会えるんだから、少しでもイチャつけたら……なんて夢見ながら同棲の準備を進めて、無事にその日を迎えた。  甘かった。  まさかこんなに隆幸さんが多忙だとは思わなかった。  毎日帰りは遅いし、疲れ果てていてご飯を食べるだけで精一杯。  余力があってもシャワーや風呂で使い果たし、ベッドへ直行。  土日は休みだが、日々の疲れが酷すぎてほぼ寝て過ごしてばかり。  せっかく一緒にいるのに、エッチすらお預けの日々。  怒りよりも心配のほうが上回り、ヤりたいと思っても言葉に出すことはできなかった。  このままいけば、どう考えてもぶっ倒れる。互いの仕事には不干渉という約束はしていたが、頼むから休みをもらって隆幸さんの体を労ってくれと訴えようと思っていたが――俺が言うよりも先に、隆幸さんは過労で体調を崩してしまった。  高熱にうなされる隆幸さんを看病しながら、俺の小言は止まらなかった。 「倒れるまで無理してどうするんだよ……こっちのほうが迷惑かけまくってんだからな」 「……ん……そう、だよな……ごめん」  高熱でぐったりした隆幸さんと、そんなやり取りをしてから三日後。  元気になって明日から仕事へ行くことになった隆幸さんを、俺は半分悪戯心でベッドへ押し倒した。 「看病頑張ったんだから、ご褒美くれてもいいだろ?」 「えっ?! あ、ちょっと待ってくれ修吾! こら、ズボンを下ろすな……アっ」  なぜか渋る隆幸さんを無視して、俺は隆幸さんの下半身を露出させると、久し振りに顔を合わせた肉棒を口に含む。  もごもご、と口の中で転がせばあっという間に大きくなる。その間際に一瞬だけ味わう柔らかさを楽しんでいたが……。 「……あ、れ?」  どれだけ刺激をしても隆幸さんのものが大きくならない。  呆然となって俺がぐったりと頭を傾げたままのそれを凝視していると、隆幸さんが気まずそうに息をついた。 「……今まで黙っていて、本当にごめん……俺、EDになったんだ……」  同棲してバラ色の新生活が待ってると思ってたのに。  フタを開けてみれば、恋人の仕事も体もボロボロという灰色の現実を見せつけられる生活だった。

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