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《愛情》
「真夜中の旦那様は、別人のように、お優しい」
囁きながら、僅かに熱を持つ、男の陰茎を指で柔らかく撫でる。
「……っ!」
大事なところへ前触れなく触れられ、びくっと震え、首を振りその手を掴んでそれ以上の行動を抑制する。
「旦那様…」
菊之助は、もう一度、優しく唇を重ね…
動きを抑制する男の手を避けて、着物を手繰り上げ、逸物を露わにさせる。
「……」
「旦那様の、初めてじっくりと見ました…いつもは、ただただ繋がるだけで…」
一方的で…何の愛情も感じ取れず。
中にも未だに出してくれたことはない。
「こんなことも、させてもらえないから…」
そう言うと、股に顔を埋め、男の性器をぱくりと口の中に含んでいく。
「……っ!?」
驚いている様子は感じ取れたが、構わず快感を煽るように、口の中で肉棒を転がし、擦り上げて、ここ数週間で鍛えた手管を、この人のためだけに使っていく。
もっと愛したい、もっともっと、愛されたい。
「…、ふ、…ッ、んっ…っ、」
口をきゅっと結び、快楽を抑え込むように鼻で息をつき、その気持ちの良い行為に争うように、声を抑えて菊之助の長い髪の先を掴む。
次第に大きく、太く膨張していくそれを、愛おしくしゃぶりながら…
射精を促すように、強く激しく頭を揺らしていくが…
なかなかその瞬間は訪れない…
そっと上目遣いで、様子をうかがうと…
歯を食いしばり、着物を握りしめ、
その現象を頑なに我慢しているように見えた…
「旦那様…大丈夫です」
「力を抜いて…僕の奉仕に、気持ちの赴くまま、精を解き放ってください」
「っ…」
「僕は、それが嬉しいのです」
「……っ」
「大丈夫…」
そう微笑んで…
再び、その熱く猛る塊を口に含み、淫らな音を奏でながら、激しく摩擦を加えていく。
「っ…ぅ、っ…ァッ!」
抑えていた想いがついに堪えきれず、小さく声を洩らして、菊之助の口腔内へびゅくっびゅくっ勢いよく弾け出す。
びくびく震えるその肉棒を愛しく啜りあげて、そろりとそれから口を離す。
「ハァ、…ハァ、…っ」
俯き、射精の余韻を味わう男に…
「気持ちよかったですか?」
「……」
男は、小さく頷く。
「良かった…嬉しいです」
「……っ」
旦那様はそっと抱き寄せてくださった。
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