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25.

夕焼けが車体に反射して彼の髪を染める。 ボンネットに重なり合った二人は、甘く視線を絡ませ合う。 今の二人を邪魔する者は誰もいないように思われた。 しかし、無情にも二人を引き裂く声がした。 「お客様、そちら展示車になりますのでお控えください」 二人は夕焼けよりも赤い顔で去っていった。

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