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第1話
「──!」
思わずベッドに組み敷いた瑠風 に、目を見張った。
……俺は、何て事……
俺の下で、小さく震える身体。怯える瞳。白くて細い首を傾げ、浮き出た鎖骨の下に残る、小さな鬱血痕。
……これは、俺が付けたものじゃない。
多分これは、瑠風の従兄弟であるジュンって奴が付けたもの……だと思う。
いや、絶対そうだ。
マーキング、とはよく言ったもので。『コイツは俺のモノだから、絶対に手を出すなよ』という、無言のメッセージ。
どこでどうやって付けられたのか、なんて……嫌でも想像できてしまう。
瑠風の細い指が襟口を掴み、引っ張り上げてその痕を覆い隠す。
「………悪ぃ、」
ああもう。
何でこんなにざわざわすんだよ。
……もう、訳わかんねぇ……
ギリッと奥歯を噛み締め、瑠風の上から退いて背を向ける。
………っていうか。本当何やってんだ、俺。
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