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第4話※

九十九は覚えていなかったが、雪柊と九十九はすでに出会っていた。 その時の事は雪柊は忘れられるはずはない。 雪柊にとって、この先の人生が大きく変わる出会いであった。 それは二年前の夏、雪柊が小学校五年の時だった。 雪柊は小さい頃からこの白い肌と華奢な体つき、そして、中性的な顔のせいで女の子といつも間違えられていた。 雪柊の家庭は決して裕福な家庭ではなかった。雪柊の髪は姉か母親の気まぐれで切ってもらっていた為、いつも顔にかかるほど長く、服も三つ上の姉の物を着させられている事も良くあり、女の子と間違えられるのは当然と言えば当然だった。 夕方、学校から帰ると母親にお使いを頼まれてしまった。近道をしようと路地裏に入る。 ずっと足元に見ながら歩いていると、何かとぶつかった。 「いてー!どこ見てんだよ!このガキ!」 尻もちをつき、見上げるとタバコを手にした高校生くらいの男が三人自分を見下ろしていた。 「ご、ごめんなさい……」 「あー⁈聞こえねーんだよ!」 坊主頭の男が雪柊の顔に耳を近づけ、大声で言った。周囲を見渡しても、誰もいなかった。路地裏に入ったのが失敗だったと思った。 「なあなあ、こいつ……」 何か三人はコソコソと話し始めた。 「おまえ、付き合えよ」 一人に腕を掴まれる。 「え……⁉︎」 そのまま手を引かれ、すぐ傍の空き倉庫に連れて行かれた。 中に入ると雪柊は、放り出させるように地面に投げられ、その勢いで膝を擦りむいてしまった。 「お兄さんたちと楽しいことしよ?」 金髪頭の男がいやらしい笑みを浮かべ、雪柊を見る。 一体自分は何をされるのか……予想も出来ず、雪柊はただ震えていた。 おもむろにノースリーブの下から手が入ってきた。夏なのにぞわぞわと鳥肌が立つ。 「や、やめて……!」 「おめー、変態だよなー、ロリコン⁈」 「違うけど、ちょっと興奮する」 胸を触っている男は、ニヤニヤとしながら手の動きを止めようとしない。 「じゃあ、下……触ってみろよ」 坊主頭の男が雪柊のズボンのファスナーを容赦なく下ろした。 「やめてよ!誰か、助け……!」 そう雪柊が叫ぶと、顔に鈍い痛みが走り殴れる。 「黙ってろよ!」 そう言ってまた殴れ、雪柊は両腕で震える自分の体を抱きしめる事しかできない。 ファスナーを下ろされ、下着に手をかけられた。 「おい!こいつ、男だぞ!」 その瞬間三人の体が離れた。 「マジか⁉︎」 「どーみても女だろ⁉︎」 雪柊はその隙を見て逃げようとした……が、髪を掴まれ引き戻されてしまった。 「待てよ!」 再びその場に倒されると、 「オレは有りだ……こいつ結構イケる」 坊主頭の男はニヤニヤと雪柊を見下ろしている。 「おまえはホモか⁈」 坊主頭の男は雪柊のズボンと下着を同時に下ろした。 雪柊の下半身が露わになり、必死に両手でノースリーブの裾を引っ張り隠そうとするが、両手を金髪の男に掴まれる。 「ハハハッ!ちっちぇー!」 そう言って、坊主頭の男は容赦なく雪柊の中心を掴んだ。ゾワゾワと不快感が雪柊の全身を包んだ。 「や、やめて!助けて!」 「うるせー!」 今度は鳩尾を殴られた瞬間、胃から込み上げてくるものを必死に堪えた。 「咥えろよ」 坊主頭の男はベルトを外し下着から自分のものを取り出し、雪柊の口元にそれを持ってくる。 「!?」 ツンと独特の匂いが鼻につき、雪柊は顔を背けた。 「おめえ、何おっ立ててんだよ」 他の二人は笑い声をあげる。 目の前にある、いきり立った男のものが目に入り、嘔吐感が込み上げる。自分のとは全く大きさの違うものを目の当たりにし、思わず目と口をキツく閉じたーーー。

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