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第17話
部屋に着くと九十九をベットに降ろす。が、勢い余って自分も倒れてしまった。
九十九の半身が雪柊の体に乗り、そのまま抱きつかれる格好になった。
「重てーよ、兄ィ!」
雪柊は九十九から退こうともがいた。
「いいじゃねーかよ」
そう言って九十九は雪柊を抱きしめ、頭を撫で始めた。
ドキッと雪柊の心臓が大きく鳴る。
何とか九十九の拘束を解き、抜け出す。
「つれねーな」
九十九はベットに大の字になり、目を瞑っている。
冷蔵庫からミネラルウオーターを一本取り蓋を開け、九十九に渡した。
「兄ィ、ほら水」
「悪いな……」
起き上がり水を受け取ると、一気に半分ほど飲み干しそのまま返されると、その水を雪柊は飲み干した。
テレビと鏡の前にあるテーブルに雪柊は腰掛け、珍しく泥酔しベットに大の字になっている九十九を見つめた。
眠っているのかと思ったが、
「雪柊、こっちこいよ」
そう言って、駄々っ子のように自分の横の布団を叩いた。
仕方なく隣に座ると、九十九は雪柊の肩に腕を回した。
「随分花村と仲良さそうに話してたじゃねーか」
九十九は酒のせいで目が虚ろだった。そんな目が少し色っぽいと雪柊は思った。
「まぁ……同い年なんで……」
気恥ずかしくなり、目を伏せた。
「本当にそれだけか?」
「何言ってんすか……?」
怪訝な顔を九十九に向ける。
「おめーはいい男だからよ、オレは心配なんだよ」
随分と酔っていると思った。
不意に九十九の腕に力が入ったと思うと、九十九の顔が目の前まで近付いてきた。雪柊の心臓の鼓童が早くなり、顔が熱くなる。
「すまねぇな、雪柊……綺麗な顔に傷作らせてちまってよ……」
そう言って、花村に殴られて切れてしまった唇の端を親指でそっと撫でられた。
そんな女を扱うような仕草に、雪柊は目を見開き九十九を見た。
そんな風に触らないで……。
期待してしまうから……。
そんな雪柊の気持ちとは裏腹に、
「そんな色っぽい顔して…オレを誘ってんのか?それともいろんな奴にそういう顔するのか?」
そのまま九十九の顔が近付いてきたと思うと、九十九に唇を塞がれた。
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