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第19話
仕方なく眠ってしまった九十九をベットに寝かし、布団をかけた。
どういうつもりだったのだろうか……。
ただの酔った勢いだったのかもしれない。だとしたら、悲しいと雪柊は思った。もしかしたら、明日になったら男にこんな事をして九十九は嫌悪感を抱くかもしれない。
自分は嫌な気持ちは一切なく、恥ずかしい気持ちはあったが、今までの女性とのセックスより気持ちいいと思った。好きな人とこういう事をするというのは、こんなにも気持ちいいものなのだと。
たが、明日になるのが正直怖かった。九十九はどう思うのか、これがきっかけでこの先自分と九十九はどうなってしまうのか……。
しばし九十九の寝顔を見つめ、無防備な九十九の唇にキスした。
次の日。
雪柊が目を開けると、隣のベットには九十九の背中が見えた。まだ、寝ているようだ。
時計を見ると、八時になろうとしていた。チェックアウトは十時だ。そろそろ起きて帰る準備をしないといけない。
九十九が寝ている間、先にシャワーを浴びる。歯を磨きながら正面の鏡を見る。白いTシャツ姿の自分が映っている。
雪柊の右腕には、肩から手首にかけてトライバルのタトゥーが入っていた。ルシファーに入ると同時に入れた物だ。
昨日の花村に《女みたい》と言われたように、自分の見た目にコンプレックスを持っていた。自分は男臭いルシファーの中では少し浮いてる自覚があった。中性的な顔立ちで肌も白く線も細い。男らしい見た目の兄たちが羨ましく思い、見た目が少しでも箔がつくけばと思い入れた物だった。
タトゥーを入れた時、九十九に酷く怒られた事を思い出す。
母親と姉ですら特に口煩い事を言われる事はなかったのに、九十九にバレた時は殴られる程怒られたのだ。
ルシファーでタトゥーが入っていない者の方が少ないのに、なぜあんなに怒られたのか今でも理解できずにいる。
ふと、鏡の中の自分の首元に目がいった。
首の襟足に近い所に赤い跡。それは昨晩九十九に付けられた跡であった。
それを見てドキリとし、昨日の事が夢でない事を物語っている。
逞しい九十九の腕に抱きしめられ、九十九が自分のモノを握り手の中で果て、自分のモノより大きい九十九のモノを咥えた。
思い出すと下半身が疼いてくる。
だが一方で、
どんな顔をして九十九と顔を合わせれいいのか……そう考えると憂鬱にもなった。
いつも髪はセットしていたが、今日はそんな気力も無く整えるのを諦めた。
浴室を出るとまだ、九十九は寝ていた。さすがにそろそろ起こさなくてはならない。
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