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王道な学園での生活-1
腐女子という肩書を持った姉に言わせると俺の通っている学園は王道らしく、俺のポジションは王道生徒会書記らしい。さらに言えば、腐女子の姉を持つ弟が王道学園に在籍しているという事が王道中の王道であり、姉には大変ありがたがられた。
何も考えずに姉に勧められるまま受験したこの学校は幼稚園から大学院まである男子校で、中高等部は山奥にあり全寮制だった。高等部から入学した俺は毎年数人いるかいないかの編入生と呼ばれ何故か目立ってしまい、気が付いたら生徒会の書記なんかになっていた。いつ生徒会選挙があったのかも知らない。気になったのでいつの間にか出来ていた俺の親衛隊なるものの隊長に聞いたところ「会長様のご指名だそうですよ。」と言われた。役職には様を付けるものなのか…そういえば俺も書記様と呼ばれているなぁと思い「ありがとう。隊長様。」と言ってみたらふふふと笑った後「御冗談でも様なんてつけないでくださいね。」と言われてしまった。なんか少しこわかった。
何故俺を指名したのか会長に聞いてみようと機会をうかがっていたけれど、まだ聞けていない。姉に相談してみたら「会長は俺様なのね!」と言われた。俺様とは何となくニュアンスでしか理解していないけど、会長は常に上から目線で勉強も運動も出来、親衛隊員も一番多いらしいのだ。気楽に話しかけたら怒られてしまいそうな雰囲気を持っている。
実際、なんかちょっとチャラい会計があくびをした会長に冗談で「昨晩はセフレとお楽しみだったのぉー?」なんて言ったら仮眠室に連れて行かれその日はもう出てこなかった。何があっただろう。怖くて見にも行けなかった。ちらりと副会長を見たらモナリザみたいな笑みを浮かべて唇に人差し指をあてたので、黙ってろと言う事なのだろう。軽く下ネタをいう事も許されないなんて金持ち怖すぎる。
双子の賑やかな庶務は初めて俺が生徒会室に来た日「どっちがどっちだかわかるー?」と名前もわかんないのに聞かれたので首を傾げたら「酷いー!絶交!!!」などと言って出て行ってから見ていない。仕事はしているらしい。
そんな濃すぎる生徒会役員の中で黙々と仕事をしていたら、いつの間にか俺は無口なワンコキャラと言う事になっていた。ワンコってどうした。俺は人間だぞ!と思ってやっぱり親衛隊隊長に聞いたら「なんか、目で訴えてくる感じが…。」と言われてしまった。意外とずばずば言うなコイツ…と思っていたら姉の友達の弟だった。俺と同じくこの学園にいれられてしまった仲間かと思ったら普通に金持ちだった。
仲間見つけたのかと思ったのに…ちょっと寂しかった。
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