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第1話

気が付いたのはいつ頃だっただろう 自分が『みんな』と違うことに きっかけはありがちだ 思春期に近づいてくると話題の多くを占める 異性の話、性の話 クラスの女子を品定めしたり 経験の有無を競い合ったり そういった話題に全く入れず また入ろうとも思えず 何の興味もわかなかった ここは自分のいるべきカテゴリではないんだろう ここではない別のどこかに、自分の居場所があるのだろう 青かった頃はそう思っていた そのうち、そのうち きっと、見つかると 見つかる日は、なかなか来ない もしかしたら、そんな場所ないのかもしれない そう思い始めたのは 今度こそはと大学という新しい扉を開けた時 扉を開けても、やっぱり思い描く世界は広がっていなかった 適当に派手な仲間とつるんでも 心が満たされることはなかった 誰といても本当の自分でいられないことに気づき 全てを諦めた 笑っていても、楽しくない 泣いていても、悲しくない そんな頃に、するりと君はやってきた 僕の乾いた心にかけた錠の暗証番号を 君は簡単に見破って僕の心に入ってきた 頼んでもいない世話をべたべたと焼いてくる君 でも不思議と嫌じゃなかったんだ 『君が勝手に』僕に近寄ってきたから 『僕は仕方なく』君をそばに置いている そんな逃げ道を作りながら 僕は君と一緒にいた

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