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7時間目
痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
痛い。
痛い。痛い。
「痛いよ、痛いよ! やめて、やめてよ! お願い! お願いだから!」
泣いて、頼んでも。
彼は、やめてくれない。
彼は、嗤う。
「やめない、やめない! 先生が、僕のこと、好きって言ってくれるまで! やめないよ!」
「好きだ! 好きだから!」
「嘘。嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!」
彼は、また鉄パイプを振るう。
「嘘つきは、痛い目に遭うんだよ。みどりせぇんせっ♡」
そう言って、彼は俺の鎖骨を殴った。
☑
ハッと、意識が戻り、乱れた呼吸のまま、俺は目を開く。
「ここは……?」
どこだろう。
一体、何なんだ……?
さっきの夢。
夢なのか?
「っ」
後頭部が痛い。
ドキドキと、現状がイカれていると伝える鼓動。
周りを見ると、何もない。
動きたくても、動けない。
「俺は、確か、鈴谷 くんに誘われて……」
見せたいものがある。
彼はそう言って、俺を連れて歩いた。
そして、目隠しされ。
古い倉庫に連れて行かれ。
頭を殴られ、そして――
「先生! 目、覚ましたんだね!」
嬉しそうに話すのは、鈴谷音羽 くん。
クラスに馴染めず、保健室登校をしていた高校二年生の男の子。
家庭環境が何だかあまり良くなくて、でも、最近ようやく母親と仲良くなれたらしい。
それ以外は知らない。
だから、俺が彼にこんなことされる理由がわからない。
「……鈴谷くん、冗談ならやめるんだ。今なら、何もなかったことにしてあげるから」
「? よくわからないよ、先生」
わっかんない、と鈴谷くんは鉄パイプを引きずり、俺の前に立つ。
「金城 先生って、下の名前、どんな字なの? 教えてよ」
「? 翡翠……そう書いて、みどりって読むよ」
「翡翠 か! えへへ、また一つ、先生のこと知れた♪」
「………………」
「大丈夫だよ! 時間は、たーーーーーーーーーーくさんあるから!」
「……っ、そ、そうだね」
恐怖で震える。
ガタガタと。
それが、俺を拘束する鎖に伝わり、鎖が震え、音が鳴る。
「鈴谷くんは……、どうして、こんなことしたの? 俺、きみに何かしたかな」
「うん。した」
したよ、と鈴谷くんは俺の顎を上げる。
「僕を恋に落とした」
「?」
「僕、先生のことが好き。大好き。先生は、まだ僕のことが好きじゃないかもしれない。でも、安心してよ」
「…………? 安心? 無理だろ! 安心なんてよ! 好きだからって、こんなことして良いとでも思ってんの!? きみは、異常だよ!!」
俺が怒鳴るように言うと、鈴谷くんは黙る。
そして、数回頷き、俺から少し離れ、鉄パイプで俺の脇腹を殴る。
「うっさい」
「っ」
「鉄パイプじゃダメ? それとも、力が足りなかったかな」
「何……?」
何するんだ。
そう言おうとして、俺は鈴谷くんを見る。
が、それはすぐにできなくなる。
最後に見た景色は、俺の目を潰そうとし、嗤う鈴谷くんの顔だった。
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