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Ⅰ 嘘つきの恋①
「おはよう、昴 」
レースのカーテンが、ふわり
揺れた窓から眩しい光が囁いた。
「君は、お寝坊さんだね」
う、うぅうーん
吐息が耳朶をくすぐる。
「起きなさい、昴」
鼻先を、ツン
突っついたのは硬質の?
冷たくて重い。
金属だ。
声はこんなに暖かいのに、なぜ?
「コーヒーを淹れたよ。一緒に飲もう」
芳しい香りに誘われて、ゆるゆる瞼が開く。
ん?
んんんー?
ベッド、妙に沈んでないか?
俺、一晩で体重増えた?
「それはね、昴。君のお腹の中に新しい命が宿ったからさ。君と私の子だよ」
「嘘つけー!!」
俺は雄だ。命を宿せるかーッ
「おっと」
飛び起きるや勢い余って、ベッドから落ちそうになった俺を受け止めたのは。
(金属の躯 )
固く冷たい鉄が全身を覆う西洋の甲冑だ。
俺に添い寝してたのはフルメタルアーマー!
鎧の重みでベッドが軋んでいる。
俺を抱きしめているフルメタルアーマー!
「おはよう、昴。気持ちのいい朝だね」
あなたは……
「……誰?」
「困った子だ。私の顔を忘れたのかい?」
顔見えないだろ!フルメタルアーマーなんだから!
チュッ
頬に冷たい金属が触れた。
これって~~
「おはようのキスだ、お寝坊さん。お兄ちゃんだよ」
俺の兄はフルメタルアーマーだった!!
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