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Ⅰ 嘘つきの恋②
ブラッディーセブン〔血の七日間〕
我が国にとって、この上なき屈辱の歴史であり、カイザーライヒ=プレヤーデンにとって、最も輝かしい栄誉を指す。
突如、宣戦布告を受けた我が国は防戦すらままならず、わずか七日間で敗戦した。
国土は朽ち、我が国はプレヤーデン占領下となる。
それから七日後
プレヤーデンは我が国の非人道を国連に訴え、ブラッディーセブンの正当性が世界に認められた。
この世界は結果が全てだ。
正義を計る天秤は勝者に委ねられる。
世界地図から我が国の名が消えた。
さようなら、我が国家
……なんて感傷には浸らないさ。
俺は皇族でありながら皇族でない。
皇位継承権は仮初めだ。
有事の際、皇族の替え玉となるように育てられたんだ。
この日のために俺は生きてきた。
だから……
もう眠ってもいいよね?
貴方方、侍の血を引く血族が『忠義』を唱えるなら俺は役目を全うしたよ。
「だから……」
俺は、もう……
「ダメだ」
意識は打たれた。
あなたの声
晴天の霹靂が意識を穿った。
硬質の冷たい胸に頬を押しつけられる。
この下に心臓があるのか。
聞こえない。
熱もない。
だけど。
金属の両腕が俺を包む。
ぎゅっと。
壊れないように、壊さないように。
「許さないよ。君を想う私の心はどこへ行けばいい?」
俺を想う?
皇族でありながら皇族でない。
ただの替え玉でしかない俺に何の価値があるの?
ねぇ、教えてよ。
「お兄ちゃん、と呼んだら教えてあげるよ」
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