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Ⅰ 嘘つきの恋③

だーかーらー!! 「俺にフルメタルアーマーの兄はおらんわーッ!!」 んな怪しい兄がいてたまるかッ 「失敬な。弟はお兄ちゃんをリスペクトするものだよ」 「リスペクトの意味分かっとるのか」 「君の言う事は正論だ」 おっ、物分かりがいいな♪ フルメタルアーマー 「リスペクトするなら『お兄ちゃん』ではいけないね……」 なぜだ? 物分かりのいいフルメタルアーマーなのに、どうして今。 (ゾゾゾって) 背筋に悪寒が~ 「さぁ、昴。遠慮はいらない。リスペクトする私を『お兄様』とお呼び!」 ゾゾゾゾゾーッ 「ムギャアー」 ガシイッ ブッチュー♥ アーマーが! 大切な、大切な 「フガフガフフフゥ~」 (ファーストキスを~) 初めての口づけは、鉄の味 奪われた…… ファーストキス、フルメタルアーマーに~ ぽかぽかぽか 「やめなさい」 チュッと鉄の唇が握りしめた拳に落とされる。 「君の手が傷ついてしまう」 んな事承知の上だ。 だったら頭のてっぺんの羽、引っこ抜いてやろうか。 「やめなさい。剃毛プレイは恥ずかしいよ」 「………」 「………」 「ていもー」 って、なに? 「下の毛を剃って、ツルツルの陰部を視姦して楽しむ羞恥プレイの事さ」 「ハァァァー」 しっしっしぃぃ~ 「うん、下の毛とは陰毛の事だ。知ってて偉いね」 「いいいー」 お前は頭のてっぺんに、いんもぅが生えとるのかッ 「失敬な。物の例えだよ。頭のてっぺんに陰毛は生えてないよ」 「当然だ!」 「尤もだ!」 ハモるな。 お前から言い出したんだろう。 「私の陰毛は黒だ」 ………は? 「よく見たまえ。羽の色は空色だ。全く色が違うよ」 「お前のいいいーッ」 「陰毛」 「そう、それ」 いんもぅの 「色なんて知るかー」 「じゃあ見せてあげよう!」 「脱ぐなーッ!!」 甲冑カチャカチャすなーッ! 猥褻フルメタルアーマー! 「変態フルメタルアーマーお兄様いらん!!」 「ありがとう。君から愛の告白をしてくれるなんて嬉しいよ」 ……どうして、そうなる? 「ワワワッ」 足ーっ、床についてない。 体が宙に浮いている。 冷たい両腕に抱かれている俺は、まるで…… 新婚初夜の翌朝の花嫁みたい…… 「正解だ」 耳朶をくすぐる、あなたの声。 俺をからかっているのか? 「まさか。本気だよ」 昴。今日から君は、私の花嫁だ。

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