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【2】-3

「風呂、ありがとう。カルピスも……」 「どういたしまして」  部屋の明かりを背にして、白いシャツが透けていた。細い肢体のシルエットがシャツの内側に影を作る。  律は身体も綺麗なのだろうなと、不埒《ふらち》な考えが頭をよぎった。  そういえば、律はふだん何をしているのだろう。  四つ年上ならもう学生ではないのかもしれない。何か仕事をしているのだろうか。  あんなに美しい人間は、いったいどんな労働に就くのだろう。律が働く姿を想像できず首を傾げる。  存在自体があまり現実的ではない気がする。  花の精だと言われたほうがしっくりくるかもしれない。昔、会った花のあやかしを思い浮かべ、あの花の精は律に似ていたと思う。  春の宵にぼんやり浮かぶ白い花を眺め、故郷のあの木はどうしているだろうと考えた。

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