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【6】-4
「これは、縁だなと思った。募集はかけてみたものの、新吾の名前を見るまでは、やっぱり断ろうって思ったんだ」
「そうなのか」
「だって、風呂だけ入りに来られるなんて、面倒すぎる」
「確かに」
いろいろ聞いてみれば、不思議な縁があったものだと思う。
「子どもの時、春に一度村に行ったことがある。あの木の下に行ってみたら、何か嬉しいことがあったみたいで、少し笑ってる新吾に会った。それを見たら、僕も嬉しくなった」
「ああ……」
やはりあの林檎の木のあやかしは律だったのだ。
「やっぱり、俺がヘンなことを考えたのは律のせいだ」
「ヘンなこと?」
新吾は律の目を見て笑った。
「新吾、ヘンなこと考えてるの?」
花が散り、青々とした葉で覆われた林檎の木に近づいて、律が幹に腕を回す。照れたように半分顔を隠して、新吾を見て微笑んだ。
綺麗だなあと思う。
――悲しいことがあったら、いつでもここにおいで。
大きな林檎の木の下で綺麗な人が言いました。
「ねえねえ、ヘンなこと考えてる人。あのね、じゃあさ。今夜あたり……、二回目の合体に挑んじゃう?」
あやかしだと思ったその人は、とても人間らしい人でした。
マジで、笑ってしまうほどに。
「ねえ、ダメ?」
「まさか。望むところだし」
綺麗な人は、嬉しそうに笑う。
「それじゃあ、是非」
「うん。是非!」
ヤりたい盛りの若い股間は、とっくに臨戦態勢に入っている。
☆おしまい☆
お読みいただきありがとうございました。
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