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プロローグ

 始まりはふたつのピースだった。    母親と自分。  ふたつのピースがぱちりと嵌れば、それだけで満たされていた。    そのうちに、父親や家族、友達や先生。  欲しいおもちゃや、大好きな食べ物、行ってみたい場所。  年を重ねるごとに僕を取り巻くピースは増えてきて、ジグソーパズルのようにピースがたくさん嵌れば嵌るほど満たされた。    高校生になって、ふと恋愛に関するピースが嵌るべき場所が空白のままだってことに気づいた。  それからその場所の空白が気になって、ピースを探してみたけれど、大学を卒業してもそこは空白のままだった。    僕は、そこに必要なピースがどんなものか分からなくて、迷子だ。

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