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第1話

「転校?!何それ聞いてない!」 「言ったらお前反対してただろ?」 「当たり前だろ!ここには実月(みつき)もいるんだ」 「幼馴染なんだから遠距離になるくらいで関係が断たれる様な間柄じゃないだろう」 「だとしても!友達に何も言えずに転校だなんて…」 「それについては悪いとは思ってる。けど携帯があるんだから連絡ぐらい出来るだろ、明日の引越し作業もあるから話はこれで終わりだ、俺はもう寝る。葵(あおい)もちゃんと寝るんだぞ」 「父さん!俺はまだ話し終わってな……っ」 最後まで話を聞かずにばたんと扉を閉められ、父さんへの怒りがふつふつと込み上げてくる。 明日、隣町まで引っ越す?転校??ふざけるな。産まれてきた時からこの町で育って、保育園の頃からの幼馴染だった実月とも中学の時にやっとの思いで告白して付き合ってつい最近三年目を迎えたってのに、なんで今なんだ!! 「あぁ、イライラする。しかも高二の途中から転入だなんて友達作ろうにも微妙な時期だし……」 何も考えたくない。もう寝よう。 あーあ、明日になって取り消しとかにならないかなー。 そんなことを考えながら俺は眠りについた。

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