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第1話

「もう死ねよお前」 何が気に食わなかったのかは分からない。だけど幼い頃から僕は、実の父親からこう罵倒され殴られていた。 蹴られて壁に激突して意識を失うとかは日常茶飯事。体はアザだらけ。 母親と言えば見て見ぬふり。学校の担任も見て見ぬふり。同級生からは面白がられていた。一度通報されたらしく児童相談所の職員とかが来たけど、母親の偽の涙に騙されそれっきり。 僕は早々に人生を諦めていた。人間が大嫌いだった。 そんな父親があっさり病気で死んだ。 僕は何の感情も湧かなかった。嬉しいとも思わなかった。ただぼんやりと、もう殴られなくて済むなと思っただけだった。たぶん僕の心はもう死んでしまってるんだ。 女というのは逞しい。母親は、父親が死んで半年足らずで再婚した。まぁ顔だけは美人だから、上手くたぶらかしたんだろう。 新しい父親は優しそうな人だった。そして彼も先妻を亡くしており、二人の子供がいた。 突然ーー僕に義兄弟が出来た。

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