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番外編 1-8 完結

 優と両親の話し合いの日、僕はもう無関係ということで別室で待たせてもらっていた。その別室に待機している僕と雅人さん、玲さんの元まで優の怒鳴り声は響いた。優と両親、雅人さんの呼んでくれた弁護士さんとで話し合いはされて、数時間後にはなんとか収まったらしい。正式に、優も僕と同じように雅人さんの保護下に入り、僕の兄弟として改めて書類上も戻った。本来この手続きは大変だと思うけれど、雅人さん曰く、あの弁護士は優秀だからと言って何も教えてはくれなかった。 「俺、頑張るね」 「うん、優。お疲れ様」  怒った表情で出てくるかと思った優は、いい笑顔でこの部屋に入ってきて、まず、一言叫んだ。解放された、と。そこでやっぱり優は無理をしていたんだと改めて感じた。そして肝心の両親だが、脅迫などの罪が成立したようで、社会的信用の失墜は免れないとのことだった。 「雅人さん、ありがとう……」 「いいんだ、凛。凛が願うのなら、なんだってするさ。それに優君も玲君もこんなところで失われていい存在じゃない」 「……、そうですよね。本当に、間に合ってよかった」  同棲する家に帰った僕は、ずっと雅人さんの腕の中に囲い込まれるような形で一緒にソファに座っていた。少しだけ、今になって両親との和解の道はなかったのだろうかと思った。だけど、それはやはりないと、自分で言い切る。どう頑張ったって、僕の受けた傷は治らない。一度壊れたものは直せたとしても、それが元通りになるというわけではないのだ。僕の傷は治ったとしても、両親を嫌悪する感情を消せるわけじゃない。だから、和解したって急に仲良くなることは不可能なのだ。 「一度壊れたものは、もう元には戻らない」 「凛?」 「あ、いえ……、なんでも」 「そうか」 「はい」 僕も優も仮初の家族に育てられた。特に優は最初から見捨てられた僕と違って、裏切られている。その悲しみも苦しみも、僕たち双子は感じている。きっとこれから先、この痛みは、ふとした瞬間にやってくるのだろう。 それでも僕たちは前を向くのだ、愛おしい番とともに。

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