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番外編 1-7

「今日はお世話になります、凛の弟の優です」 「同じく、お世話になります。玲です」 お互いに、改めての自己紹介から入り、少し声を出して話してもいいような、適当なカフェで座る。今日話したことは、両親との話し合いの時にいる弁護士さんに、すぐに雅人さんが連絡をしてくれることになっている。 「堅苦しいのはよそう、俺は高科雅人。名刺を一応渡しておくね」 「ありがとうございます、高科さん」 「ありがとうございます……」 気後れしない優と少し緊張しているであろう玲さん。玲さんとは初めて今日会ったけれど、素敵な人だった。身長は僕よりも低くて、失礼だけど可愛らしい顔立ちをした人。優にお似合いな人だとも思った。 「さて、それじゃあまずは二人の受けた被害についてまとめようか」 雅人さんの見事な手腕により、比較的早く話し合いは終わり、後はゆっくりしようということで追加で甘い物を頼んだ。玲さんは甘い物に目がないと教えてくれた通り、ケーキを頼んでいた。 「厳しい、戦いになると思う。特に優君は周りにどう言われるかはわからないよ」 「それでも、俺はかまいません。俺は俺のするべきことをするだけです」 「わかった。優君もこちらの籍に入れるように手配をするよ。玲君も、君の身の安全もご両親と妹さんの身の安全も、俺が責任をもって保障するから、安心してほしい」 お礼を言う優と玲さんは、どことなく目を潤ませていたように見えた。甘い物も食べ終えたので、解散となり、優と玲さんは帰っていった。 「雅人さん、本当にありがとうございます。苦しいことを頼んでしまって、僕としては申し訳ないですけど……、その、僕にとって家族は優だけなので……」 「大丈夫、わかってるよ」 「ありがとうございます……」 僕の言いたいことは、すぐにわかってしまうし、僕の気持ちさえも理解してくれる雅人さん。こういう時に思うんだ、なんで僕は雅人さんの運命じゃないんだろうって。僕は運命じゃないから、雅人さんの気持ちを直接感じることはできない。今僕が感じているのはただ寄り添っているときに感じるものだから。これが運命の番同士ならもっと強く感じるらしいし、特にオメガの危機にアルファは離れていてもすぐ気が付くことができるのだと。 「さて、忙しくなるから今日はもう休もうか」 「はい」  言外に考えるな、と言った雅人さん。そこからは僕も両親のことを考えることはやめてまったりと二人で映画を見た。途中で僕は寝落ちしてしまったから知らない。否、知る由もない。 雅人さんが、俺たちは運命の番だよ、と言っていたのを。 僕が、それを知るのはずいぶんと経ってからだった。

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