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第1話 学園の王子

桜井豊。 ここ琴音学園では知らない人間はいない。 爽やかで笑顔が輝き、誰にでも優しい美青年。 それが学園の王子と呼ばれる桜井くん。 文武両道で汗をかいても爽やかなシトラスの香りだとか?(クラスメイト談) 少し明るいグレーの髪は桜井くんが苦労してる証拠?だとか? まぁ平凡代表のどころかブス代表の僕、椿洋にとって桜井くんなんて話せる相手でもない。 まぁ話しかけてもらえることもない。 目が合うと誰に対しても笑顔をくれるんだけど、もらっても戸惑うからまず目を会わせない。 「今日もキラッキラだな、王子は」 そう話しかけてくるのは日本男子の四月一日理人。 俺の幼なじみ兼…。 まぁ、その話は追々…。 今は体育の時間であることを思い出した。 バレーボールをしているのだが、出番待ちで体育館の壁にもたれ掛かっている。 「絶好調だよね。」 「桜物流も絶好調だしな。」 そう桜井くんは桜物流の三男なんだ。 桜物流とは桜井くんの実家で有名な物流会社だけどお母様が有名なデザイナーで今は桜印というブランドで可愛い小物などを売っているらしい。 それがまた若い層に受け、何と年収ウン千億の収益だとか…。 現在では服やキッチン用品なども売ってるらしい。 「葛木も凄いよな。」 桜井くんの隣にいるのは幼馴染の葛木礼。 躍りの家で仕草がとても綺麗だ。 女形をしているので紙が長く、女性に見えてしまう。 僕はため息をついた。 「ブスには無縁だな。」 はっきり言う四月一日はどこか刺のある言い方をする。 仕方ない事実なのだから。

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