5 / 36

第4話 変態王子は心配

「俺が悪いのか?」 桜井くんにそう言われた僕は首を横にも縦にも触れなかった。 「手洗いに行くね。」 そういうと僕はその場から離れた。 それと同時にさっきまで僕を睨んでいた人達も動き出す。 お手洗いに行くと案の定、彼らはいた。 「随分仲が良いんだ。」 「…。」 僕は何も答えなかった。 仲が良いと言うにはおかしい関係。 だけど、悪いとも言えない。 ただ向こうが熱心に僕の尻に夢中なだけ。 どうして、わからないんだろ? 「なぜわからない!」 手洗いの外から桜井くんの声が聞こえた。 「まぁ俺胸派だからな。」 それに答えているのは恐らく葛木くんの声だ。 「胸だと!」 「俺は腰派」 そう答えたのは四月一日。 なぜ君までいるんだ。 何か話しているのはわかるけどそれ以上は理解したくない所だ。 「椿の尻はたまらん。」 「セクハラだぞ。」 「手遅れだ。」 葛木くんと四月一日はため息をついている。 「ちっ覚えてな。」 そういうと彼らは出ていった。 僕はこっそりとため息をついた。 「椿の尻は国宝だ。あれは宝だ。」 力説するのはいいけどお手洗いの前だよ? 「あの…。」 手洗いのドアを開けると桜井くん、葛木くん、四月一日がいた。 「桜井の信者は相変わらず熱心だよな。」 四月一日が感心すると、 「お陰で椿の尻の素晴らしさに気づくのに遅れた。」 と桜井くんが毒づく。 「大丈夫だったか?」 葛木くんは心配してくれたらしい。 「はい。」 そう頷くと桜井くんが僕を抱き締めてくれた。 そして… 「ひゃっ!」 僕のお尻を揉んだんだぁ…。

ともだちにシェアしよう!