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第34話 やはり伯母さんは…
「伯母さん、すみませんでした。」
僕は頭を下げた。
伯母・百合子さんとまた再度話す予定を組んでもらい、話し合いになった。
「良いのよ、ごめんなさいね。私も感情的になりすぎたわ。」
いつもの淑女な伯母が椅子に優雅に腰を掛けていることにほっとしつつ、僕は待ってもらっていた桜井家の応接室の伯母とは反対側の椅子に腰かけた。
「しかし、ごめんなさいね。あの人のことでまさか貴方に迷惑がかかるなんて思わなかったわ。」
「うん、それは大丈夫。」
僕は目の前の机にお手伝いさんが出した紅茶を飲んだ。
「動揺しちゃったの。貴方が遠くにいってしまうのではないかと思って…。」
百合子さんはそう呟いた。
「うちのバカ息子は海外で研究でしょ?年に一度も家に帰ってこないし、気がついたら向こうで永住権取得してるし!」
百合子さんは相当疲れてるようだ。
「こんな可愛い子が我が子になっているのにずっと会えなかったなんて私はそれでずっとイライラしていたの!」
百合子さんは机を叩いた。
感情剥き出しの伯母に驚きつつ、心配になった。
浮気相手が18歳の幼妻だなんて。
「あんな、じじいいくらでもくれてやってもいいけど、銀行に色々問題が出始めたら助けろなんて虫が良すぎんだろ!」
え?
「ったく、あのグズ。銀行の資産に手を出したんだからとっとと縄につけよな。」
伯母の言葉に僕は紅茶の入ったティーカップを落とした。
「あら、ごめんなさいね。つい本音が…。」
と、優雅に紅茶を飲む伯母に僕はどっちが本当の彼女なのかわからなくなりつつある。
「でもまぁ、時間の問題よね。もう警察が動き出してるし、税務署も動き出してるもの。」
伯母はそういうとため息をついた。
僕は相当疲れてるんだなと思うことにした。
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