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第33話 子供なんだ

「当たり前だ。俺達は子供なんだ。」 桜井くんの声に僕は驚いた。 彼はむくっと起きた。 そして、あくびをする。 「子供なんだから大人を頼って良いんだ。困ったら周囲に助けを求めて良いんだ。怖いなら怖いって言って良い。」 桜井くんの静かな諭す声に僕は涙した。 「僕は…」 助けを求める? 僕は弱いだけ… 「弱くないよ。」 桜井くんは僕を抱き寄せた。 「大丈夫、俺がいる。俺がお前を守るよ。」 その温かさに僕は涙が出た。 「俺達は未熟で誰かの助けが必要で、一人で立っていることなんて難しいんだ。でもそれは仕方ない。だって経験したことのないことで、人生だってまだ十数年しか生きてないのに何でもわかる訳ない。だから…答えを…最善の答えを二人で出していこう。」 桜井くんは僕にそういうと抱く力を強くする。 僕も離さないと力を強くした。 一方その頃____________________________________ 「ゆーくん、あんなイケメンなこと言ってるよ?」 翼、譲、ゆきこ、ゆみこは二人を廊下の角から覗いていた。 「イケメン過ぎて泣けるわ~。」 ゆみこは笑っている。 「しかし、ヘタレね。そこはキスするところだろ。」 ゆきこは若干キレぎみだ。 「廊下でやめろよ、様子見に行こうと思ったらラブコメ展開とかどうやってつっこんだら良いんだ…。」 翼はあの二人をどうしていいのかわからない。 「まぁ、そっとしておきましょう。」 ゆきこの提案に皆が頷き、4人でその場を後にしたなんてこと、豊が気づいてたなんてことは知らない。

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