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第32話 僕は…
伯母さんはあんな変な人じゃなかった。
「洋ちゃん♪」
とてもメルヘンでお転婆ってイメージだった。
ゴスロリの服装を好み、くどくもないナチュラルメイクを施し、笑顔を絶やさず、涙や怒りなんて見せなかった。
髪はいつも巻いて綺麗にしていたし、髪飾りも可愛くしていた。
そんな伯母が鼻水を垂らすし、泣きじゃくる。
笑顔しか見たことのない伯母をそこまでさせてしまったのは僕でダメな人間だなと思うとショックで食事が喉を通らなかった。
桜井くんが世話をしてくれたけど本当にダメ人間で…。
負の連鎖に落ち込んでいく。
チュンチュン…
鳥の鳴き声。
朝か…。
どうやらエンドレスで悪いことを考えていたからいつの間にか朝になっていたみたい。
僕はため息をつき、着替えた。
そして、身近な荷物を纏め始めた。
出ていこう。
これ以上伯母である百合子にも桜井くんにも迷惑をかけたくない。
そう思いながら荷物を纏めた。
そして、別途の上のパンパンになった鞄を持ち、住まわせてもらっていた部屋を見渡した。
すごく広く、20畳くらいある部屋とシャワールーム、トイレも完備された部屋を一人で使わせてもらったと贅沢なことをしてもらったことを感じた。
贅沢させてもらってたんだな。
そう思いながら部屋のドアを開けると開かなかった。
え?
と、閉じ込められた?
僕は焦り鞄を下ろして両手でドアを押すとぐふっという声が聞こえた。
その声は…
「桜井くん!?」
だった。
「ん~」
毛布にくるまり、僕がドアを押したことでドアの前から転がったらしく、彼は不機嫌そうに眉間にシワを寄せながら寝ていた。
「桜井くん、ごめん。大丈夫!?」
僕はテンパり、桜井くんに聞くが寝ている彼から当然返答なんてない。
「桜井くん…ごめんね。」
僕は彼の寝ている横に座り謝った。
「僕はやっぱり伯父の言うとおりに屑だから誰かに守ってもらわないとダメなんだ。いつだって、誰かを頼らないと生きていけないんだ。」
僕は涙を流した。
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