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それぞれの過去〜龍之介×虎次郎編〜【6】

  「ひゃうっ! ぜっ、たいに、ダメ! そこだけは、ひやああっ! あっあう! ひっく、や、…っ!」  まるで母猫が子猫を綺麗にしてやるときのように龍之介は無心にそこをぴちゃぴちゃと水音を立てながら舐め続ける。  好きな相手だから特に気にならないし、痛くないようにしてやりたいと思って、丹念にすぼまりを湿らせて舌で押すようにして柔らかく解してゆく。 「ふやぁ…りゅーちゃぁ…んんんっ、やっ、なんかへんっ!」  龍之介に舐められ続けたすぼまりがじんじんとして熱くなって、じわじわとした得体の知れない快感が背筋をせりあがってくる。  会陰部を外側から刺激されて、放出したばかりで萎えていたはずの肉茎がぴくぴくと反応をして芯を持ち始め形を変えだした。  「やぁん…そこだ、めぇ…っ! ひゃぁううっ、あっあ! はうぅん!」  外側から舐められて感じている自分が信じられなくて恥ずかしくてたまらないのに、抑えきれない甘ったるい媚びた様なまるで続きをねだっているような声が出てしまう。 「んんっ……ぷは…はぁ…コジロー。 気持ちよくなってきたのか?」  龍之介は一旦、吸い付いて舌を使って舐め上げていた動きを止めると、可愛らしい声で喘いで、ぷるぷると内股を震わせて、顔を耳まで真っ赤にして、白い胸を上下させている虎次郎に聞いた。 「あぅっ、ん……ひっく、ふえぇ……!」  虎次郎は恥ずかしさに目元に大粒の涙を浮かべて、不安げな目で龍之介を見上げる。  自分でもよくわからない初めての感覚に戸惑っているようだった。  白い胸の上にある桜色の突起はずっと固く立ち上がったままで、特に龍之介に執拗に吸われた右の乳首は赤く腫れて唾液と精液に塗れててらてらと艶を帯びていた。  虎次郎の小さな胸いっぱいに行為を受け入れたい気持ちと、未知の快楽に対する恐怖感と羞恥とがせめぎあっている。  羞恥や恐怖感に堪えて自分を受け入れようとしてしゃくりあげる虎次郎を見てよりいっそう愛しさのようなものがこみ上げてくるのを感じた。  思えば、龍之介のすることを無条件で受け入れてくれて、なにがあっても無言で一生懸命に後に付いてきて、いつもそばにいてくれたのは彼だけだった。  彼はただ単に気が弱くてあまり自分の意見を口にしないおとなしい性格で、周りに流されやすい性格というのもあったかもしれない。  人付き合いが苦手で臆病な虎次郎には龍之介しか親しい友人がいなかったというのもあると思う。  それでも、弟みたいな彼をかわいいと思っていたし、自分が傍にいて守ってやらなくちゃという気持ちにさせられた。    虎次郎に好きという気持ちを打ち明けられ、お互いの気持ちを確かめ合った今では、龍之介にとって彼は、弟みたいな存在から、愛しい相手へと変わり、虎次郎と心だけでなく体も一つになりたいという欲求が強まると同時に、何故か胸が締め付けられるように微かに痛む。  虎次郎は、この行為をどう思っているのだろう?  真澄の手で激しい行為に慣らされた自分とは違い、純粋で無垢な印象の強い彼だけに、男同士で寝ると言う事がどういうことか完全には理解できていないかもしれない。  それをわかっていながら身の内側から湧き上がる衝動と欲望を抑えきれずに、行為を続けているというほんの少しの罪悪感が龍之介の胸を苛んでいる微かな痛みの原因だった。  虎次郎が愛しくて、欲しくて、自分だけのものにしたい  という気持ちが今ではより強くなって自分を抑えきれない。  好きだという気持ちを言葉で伝え合うだけでは、足りなくなった時、きっとそれ以上の気持ちを体を繋ぐことで人は得ようとするのだろう。  だから人間は子孫を残すためだけじゃない、体の繋がりを――温もりを、求めるのだろうか?  龍之介は、柄にもなくそんなことを考えていた。      強引に犯された時の苦痛と体にかかる負担と衝撃は嫌というほど真澄との行為により思い知らされている龍之介は、せめて、痛くないように、辛くならないよう、じっくりと時間をかけて虎次郎のそこを柔らかく愛しげに舐め上げて吸い、溶かしてゆく。 「いやはぁ…はぅぅん、りゅーちゃ、ぁっ…ふあぁっ…んぅ、くぅぅんっ!」  排泄器官を執拗に舐められて、舌を差し込まれ、吸われるという行為に慣れない虎次郎は、龍之介の愛撫にビクビクと反応して快感に震え、下肢を大量の蜜で濡らしながらも、弱弱しく首を振って、目元を赤く染めて、涙で濡らして、しゃくりあげている。  物凄い恥ずかしいのに、感じてしまう自分が信じられなくて、自分が自分じゃなくされていくようで怖かった。  龍之介がなにをしようとしているかなどはっきりと理解できないままで、それでも、それを受け入れようと懸命に恐怖感にも耐えようと口元に当てた服の袖を噛みしめる。  龍之介から与えられる全てを受け入れたい  好きという気持ちを伝えられるのは言葉だけじゃないんだと教えてくれたのは彼だったから――  虎次郎の小さな胸の中でそんな葛藤や想いがあることを知らず、龍之介は黙々と一生懸命にそこを慈しむように舐め溶かす行為に没頭している。      柔らかくなり赤く腫れてきた入り口の粘膜を指の腹で押すように触れて感触を確かめてみる。  指の腹でふちをめくりあげるとヒクヒクと、中の粘膜がざわめいているのが見えた。  それを確認して、そろそろ指を挿入していい頃合だと見計らい、先ほど虎次郎の胸や腹に塗りつけておいたゼリー状の白濁を掬い取って指先に纏わせる。  じっくりと舐め解かされて綻び始めた孔へとその粘液を塗りつけた人差し指をぐっと奥までゆっくりと差し入れた。 「うっあぁ、あぁぅ! ぐ…んんぅっ!」  初めて異物を体内に飲み込まされて受け入れたときの異物感に苦しそうな声が虎次郎の袖を噛み締めたままの唇から漏れて、細い腰がびくりと跳ねた。 「うぐっ……ふぎぅ…ぉなは……が、くるひぃよぉ……」  虎次郎が噛み締めすぎて伸びきった袖から口を離して、繰り返し浅く息を吐いて胸を上下させて龍之介を見上げる。  本来、入れる場所ではないところに指を入れられる違和感と中を指で押し開かれる異物感に苦しんでいた。 「コジロー、ごめんな……でも、こうしないと後々もっと辛くなるから、我慢してくれよ……な?」  龍之介が眉根を寄せて申し訳なさそうな顔でそう言うのを聞いて虎次郎はわけもわからないままコクリと頷く。 「はぁ…はぁ…んんっ!」 「コジロー。どうする?」 「……う、ん…なぁ、に…?」  龍之介にらしくない真剣な顔でそう問いかけられて、いったいなにに対する問いか分からずに、虎次郎は途切れ途切れにそれに答える。 「ここらへんでもうやめておくか? コジローはこれから俺が何しようとしてるか分かってるのか?」  そう聞かれて虎次郎は首を左右にゆるゆると振った。 「はぁ…はぁ…や…ゃめない、で……」  龍之介がしようとしていることが具体的にどういうことかは分からない。  それでも、龍之介に求められているのを拒絶なんてしたくなかった。   「コジロー……」 「りゅーちゃんの、したいこと…して、いいから…僕のこと、忘れない……でね」  虎次郎が小さな震える声で弱々しく微笑みながら途切れ途切れにそう言うのを聞いて、目頭が熱くなって、大粒の涙が溢れ出すのを止められなかった。  自らの全てを差し出す代償が゛忘れないで欲しい゛なんて、微かな願いで、あまりにも健気な虎次郎に、龍之介は感激したのか感動したのかわからないまま涙が溢れて視界が歪んで見る見るうちに見えなくなった。 「あたりまえだろ! 忘れてくれって言われたって俺はずっとコジローの事覚えてる!」  ぼろぼろと熱い雫を流れるままにして龍之介はそう叫んだ。    「忘れるもんか! 忘れるかよ!」 「りゅーちゃん……」 「コジロー、大好きだ!」 「りゅーちゃん……僕も大好きだよぉ…!」  二人してひとしきり泣いて、気持ちを言葉にして確かめ合った後で、ついばむようにキスをして、虎次郎の中に差し入れたままの指をゆるゆると動かした。  虎次郎自身が溢れさせた蜜と精液と龍之介の唾液とが混ざり合った液体を中へと塗りこめるように出し入れを繰り返す。  柔らかく解すために指を継ぎ足して肉筒の中を押し広げて中で指をぐるぐると動かした。 「あぁっ! ぅんんっ!」 「コジロー大丈夫か?」 「はぁ…ぅんん…ぁ…だい、じょ……はぅん…!」 「コジロー。 悪い、俺、もう我慢できない!」 「え……?」  龍之介は虎次郎の肉筒へと差し入れていた3本の指を引き抜くと、彼の柔らかく解かされた入り口へと自らの滾りきった欲を押し付けた。  間髪いれずに腰を前へと突き出して虎次郎の蕾へと滾りきった肉棒を挿入した。 「あああっ!」  長い時間をかけて解かされた肉筒は難なく龍之介のそれを根元まで飲み込んでいき、初めて迎え入れた雄をぎゅっと締め付けた。 「はあぁぁっ! ぁぐぅっ!」 「ぐ……ううっ! すご…コジローのナカすごい……」  体内に納めた肉茎にきゅうきゅうと絡みつき締め付けてくる粘膜に搾り取られるような感覚がして、入れただけで射精してしまいそうになったが、なんとかそれを堪えて押し留める。 「あっ! ああぅ!」 「コジロー、分かるか? 今、俺たち、繋がってるんだぞ」 「はあぁっ…りゅーちゃ…の…が……」  龍之介の肉の棒が自らの体内でびくびくと脈打っているのが分かり、虎次郎はそれを確かめるように自分の下腹に手を置いてゆっくりと撫でる。  虎次郎が落ち着くまで動かずに様子を見ていた龍之介だったが、自身を根元まで飲み込んでいる部分を初めて客観視してこんな風になるのかと感心していた。  異物を飲み込んでいるその部分は皺が伸びきり、じっくりと解したおかげか切れることもなく龍之介のモノの形に押し広げられて柔らかく包み込んでいる。  赤く腫れた粘膜が肉棒を包み、ざわざわと蠢いてぎゅっと締め付けるナカの肉の感触をひとしきり堪能して息を吐いた。  自分の中に突っ込んでいる時の真澄もこんなにいい思いをしているのかと思うと腹立たしくなった。  受ける側はあれだけ体力も気力も消耗させられて苦痛もあるのに、挿れる側はただ心地いいだけで苦痛は一切感じない。 「んっ……りゅぅちゃ……」  虎次郎に名前を呼ばれて龍之介はハッと我に返り、不意に考えてしまったその思考を慌ててかき消そうと首を左右に振りたくった。    虎次郎とえっちしてる時に真澄とやった時の事を思い出して比べるなど、言語道断だ。  今は目の前にいる相手のことだけ考えてやらなければと思い、挿入された衝撃で萎えかかっている虎次郎の肉茎をそっと手の平で包み込んだ。 「はっ、あぁっ……んんっ」  萎えかけていた性器を優しく握りこまれて上下に扱かれて虎次郎が甘ったるい喘ぎを漏らした。  龍之介の手で包まれて揉まれたそれは見る見るうちに熱い雫を零して芯を持ち、完全に勃起して脈打ち始めた。 「んんっ! りゅーちゃ……は、ああぅっ!」 「コジロー。そろそろ動いても、いいか?」 「ん…ぅんっ…い…ぃよ」  虎次郎が荒い呼吸の合間にそう言うのを確認してから、龍之介はゆっくりと腰を動かし始めた。  締め付けてくる肉壁に逆らいながらずるずると少しづつ自身を引き出しては、じわじわとまた差し入れる行為を繰り返す。 「あぁっ…はっ…んんっ…くぅん」  引き出してまた差し入れてを繰り返すたびに虎次郎の唇から苦しげな、けれど甘さを含んだ喘ぎが零れて、健気に耐える姿もあいまって龍之介の下肢を熱くする。  真澄に抱かれて、自分が貫かれている時に、どうしようもなく酷く感じてしまう場所が中にあることに気がついた。  龍之介は知識がなかったが、真澄に聞いて後から知った。  前立腺という快楽の引き金になるボタンみたいなものが、後孔内部にあって、そこを突かれると気持ちよくなれるのだと教えられた。  龍之介は、虎次郎に悪いと思いながらも自分がされていた時に真澄にどういう風にどのような角度で貫かれていたかを思い出して、虎次郎の前立腺を探るように腰を動かして中をかき回した。 「きゃううぅんっ!!!」  ぐちぐちとあちこち内部をゆっくりと突付いて、ある一点を龍之介の肉棒が掠めた時、虎次郎が腰を跳ね上げて子犬のような声で喘いで泣き出した。 「ひいやあああぁっ! そこぁ……ら、めえぇ!」 「ここか……! コジローのいいところ見つけた・・・」 「やあぁ…りゅーちゃ…そこ…ぁめぇ……」 「ダメじゃなくて、ほら、ここ、コジローの一番気持ちイイと……ころだぞ」 「はっぁ! やぁ…へんになっちゃぁ…そこぁ…めて……」  虎次郎がぶるぶると震えて顔中を涙や唾液でぐしゃぐしゃにしながら、息も絶え絶えに初めての感覚に戸惑い、恐怖感を感じてもがくように両手を龍之介へと差し出して泳がせる。

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