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第6話 溶け合う熱

 このままでは体に障りますので。  そう言われて二人が向かった先は、無月の住む家だった。  自分で歩けると言ったのに、男は決して水鏡を腕の中から解放することはなく。  彼の部屋に着くまで、水鏡はずっと横抱きにされたままだった。 「は……ぁ、むげつ、もうむり……ッ」 「おや、こらえ性のない人ですね。もう少し、我慢できるでしょう?」  くちゅり、とわざと音を立てながら、無月が水鏡のモノを口で扱く。  熱い粘膜が絡みつく感触に、体が勝手に跳ね、口から嬌声が零れた。  与えられた熱がどんどん下腹に溜まっていくのが、自分でもわかる。  無意識に快感を追いかけ、腰が動くのを止められない。  抑制の効かない体に翻弄されて、どうにかなってしまいそうだった。  今まであまり肉欲の処理を自分でしたことなどはなく、未経験の快感が次々に襲ってくる感覚に、ほろりと涙が頬を伝う。  ──こわい。気持ちよすぎて、自分の体がどうなるのかが、わからない。 「大丈夫ですよ。あなたはただ、私に体を委ねていれば良い」  水鏡の恐れを見透かしたように、無月の甘い囁きが耳を侵す。  誰がお前の良いなりになんか、と言う言葉は、さらに増した快感の波に吞まれて消えた。    胸の飾りを指がかすめ、腹と背中をつうっと指でなぞられる。  無月が触れるところ全てが気持ち良い。  思わずもっと、とねだりかけ、水鏡はぎゅっと歯を食いしばってその言葉を飲み込んだ。 「水鏡、自分で触って欲しいところを言ってご覧なさい。そうしないと、触れてあげられませんよ」 「や、だ……っ、言わな……ひぁ、あ……っ」  首を振って反抗するまもなく、無月が水鏡の指を口に含む。  ねっとりと丹念に舐めあげ、甘噛みをする。  水鏡はまるで自分のモノを舐められているような錯覚に陥った。  思わず自分がそうされたらと想像してしまって、期待と劣情の混じった熱い吐息を零す。そんな水鏡に、男は指を口に含んだままくすりと笑った。  この男にはかなわない。そうまざまざと自覚させられ、なけなしの理性が崩れていく。  ──そう、もっと堕ちておいでなさい。  そう囁かれて、水鏡は最後の一欠片を手放した。 「胸と、俺の……っ、もっと、さわって……!」 「──よく出来ましたね、水鏡。お望み通りに」  ねだったとおり、かり、と胸の飾りに歯を立てられて、水鏡の体が大きく跳ねた。  無月の大きな手にペニスを扱かれて、体中に熱が溜まっていく。  くちゅくちゅと立てられる水音は水鏡の耳を侵し、それすらも甘い痺れに変わる。    もう、限界だった。 「むげつ……も、だめ……っ、や、あぁ……っ!!」  体の中で解放を求める熱を全て吐き出して、水鏡はくたりと無月の腕の中へ倒れ込む。  薄れゆく意識の中。  ──愛しています。  そう囁く男に、俺も、と言葉を返し、水鏡は意識を手放したのだった。

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