オレ、国司丸 肇は全世界で５本の指にはいる国司丸グループの跡取り。 自分で言うのもなんだけど、この家柄に加えて、頭脳明晰、容姿端麗と人の羨むものをすべて持っている。 もちろん、アルファ。 ただ１つ、持っていないもの……それは…… 「肇様、こちらへ」 「何？」 「発情したオメガが会場にまぎれこんだという情報を得ました。念のため、こちらへ避難してください」 「また？ あいつらパターンが同じなんだよな」 国司丸グループの跡取りであるオレの番になりたがってるオメガは多い。 オレのそばでわざと発情してヒートを誘引するなんて事は、物心ついてから数えきれないほど。 寝ている間に寝室に忍び込まれて、目覚めた時には腰の上に跨がれているなんてことも何度もあった。 オメガは信用できない。 番の座を虎視眈々と狙っている。 幼き頃から植え付けられたオメガへの不信感、猜疑心は、成長とともに肥大。 心因的なそれは、当然のことながら体にも影響をあたえ、17歳の現在、ヒート真っ最中のオメガがいてもオレのナニはピクリとも反応しなくなってしまった。 ベーターやアルファには反応するから性機能という意味では支障はない。 オレの生活にはオメガは不要。 生涯、つがうことがなくても困らない。 ベーターやアルファの伴侶で満足なのだ。