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第12話
翌日
「ごめん。急に呼び出して。月」
「いいよ。どうした?」
「紹介したい人がいる」
「お待たせ」
「あ!華陵院さん。うちの藤がいつもお世話になっています。」
「そうか…君だったのか」
「どうかしました?」
「一昨日さ会ったでしょ?その時の俺たちの姿見て美景がやきもちやいちゃって。」
「でも。卯月くんなら心配なかった。藤くんにベタボレだもんね。相手の顔が見えなかったから勘繰っちゃって」
「あの…」
「あ!紹介するね。俺の婚約者の美景さん」
「婚約者!?いつの間に」
「ふふ…ビックリした?」
「びっくり!でもお似合いです。あの九頭竜がやっと…感慨深いです。それもお相手は美景さんなら申し分ないですね!これからも宜しくお願いします。」
月は俺のモデル時代でよく一緒になった人。ビックリするくらい本人も美人だがそれに劣らず美人な奥さんがいてその彼にベタボレだ。
奥さんの藤は子供の頃は一緒に仕事したこともあったけど色々あって藤はやめてしまってそれから二人は長年すれ違い、やっと想いが通じあったのだ。どちらかというと月の方が心底惚れててこっちが恥ずかしくなるくらいいつもノロケてる
藤は華陵院グループの飲食部門を任されている美景の弟の夕燈さんのところとその友人である創さんの店で働いている。
「でもまさか俺って気付かないくらいご執心とは…意外です。美景さん」
「俺もこんな風に周りが見えないくらい惚れ込む相手が現れるなんて思ってなかったよ。疑ったりしてごめんね」
「誤解が溶けたのなら良かったです。じゃあ俺はこれで。藤とデートなんですよ。準備しなくちゃ!」
「あは。ごめんね。時間とらせちゃって」
「親友の一大事でしたからね。こんどは藤もご一緒させてくださいね」
「九頭竜。ごめんね。疑っちゃって」
「お互い様ですね。」
「ねぇ。九頭竜。今度はうちの親に挨拶しにいこう?お前のご両親にも」
「うん!」
そうして短い交際期間だけど結婚が決まった。誰も反対するものはなくそれから共に生きていくことになった。
こんなにも愛しくてこんなにも恋しくてこんなにも心が満たされる相手に出会えて俺は本当に幸せ者だ。
一夜限りの相手を求めていたのに一生の相手となるなんて。人生何が起こるかわからない。
愛する美景と共に新たな人生を始めよう
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