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第2話
そんなある夜。幼馴染みにレンタル屋へ付き合ってくれと出かけて行った。ちょっと遅い時間だったがまぁいいかと。
そうしたら
『 優、こんな時間にどうした』
不意に話しかけられ俺の心臓は今度はバクバクいつも以上にうるさく鳴っていた。
俺はその声が先生だとすぐ分かり、嬉しいのと恥ずかしいのとなんでいるんだよと
感情がごちゃ混ぜになってフリーズしてしまった。そして先生を無視してしまった。
一瞬、先生を見た時悲しげな顔をしていたように見えた。なんであんな泣きそうな顔してんだよとなんで俺は無視してんだよと頭の中では叫びまくっていた。
もう帰ろう、もう俺は無理だと自転車で駐車場を抜けようとした時
先生の車を見つけた。
一度は通り過ぎたがどうしても、どうしても先生に会わなきゃと自然と引き返していた。
幼馴染みには用事が出来たとだけ言っておいた。
俺はどのくらい待っただろうか。
先生の車の傍で膝を抱えて、なんであんな態度を取ってしまったのか考えていた。
だが考えても考えてもわからず、最後はあの先生の顔が忘れられなくて、弁解したいと思ったのだ。
やっとその時がきた。
先生が現れたのだ。俺がすっと立ったから先生はとてもビックリしていた。
けれど優しい声で
『 優 』
と名前を呼んでくれた。
その声を聞いて物凄くホッとして
「 先生… 」
俺はそういうのが精一杯で俯いてしまった。
先生も黙ったままだったから、俺はさっきのことで本当は怒ってるのではないか、嫌われたんじゃないかって頭の中はグルグルになっていた。
でも何か、何か話さなきゃと必死で声を出した。
「いや、さっき先生が‥いた気がして。俺驚いてびっくりして‥あっ、忘れ物したと思って‥」
もう最悪だ、俺!!一体何を言ってるんだ。自分がこんなに情けないやつとは思わなかった。
そうしたらふわっとあの優しい大きな手で頭をくしゃくしゃってされた。
あーこの手だ。
嬉しい、先生触って!もっと触って!
とてもドキドキするけど同時にくすぐったくて安心もするんだ。
その手で抱き寄せられて、俺はなされるがまま先生の胸へ頭を押し付けた。
先生からいつもの珈琲の香りがした。
そして思わず先生の右手を掴んでいた。
このまま離れたくなくて。
それはほんの数秒だったかもしれない。でもとても優しい心の温かくなる時間だった。
こんなことがあっても先生は何も変わらずに接してくれる。
だから俺も相変わらず先生のところへ通っている。
でもね、少し気づいたんだ。先生の微笑む回数が増えて、たまに優しい目で俺を見てるとを。
これが恋なのか??
確信を持てない俺は先生にわざと聞くんだ。
「 先生!恋ってどんなもの?」
「 どんな感じ?」
それなのに先生はいつも笑って誤魔化すんだ。
もう少し、もう少し俺の中で確信が持てたら先生にこう聞くんだ。
「 先生、これって恋?」って。
先生はなんて答えてくれるかな。
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