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1《ヨシとアキラ》

少し肌寒くなってきた日曜の午後。 北上ヨシヤスと楠木アキラはヨシの家でのんびり過ごしていた。 なぜアキラがヨシの家にいるのかと言うと… 数日前からヨシとアキラは付き合っていて、アキラがヨシの家に転がり込むカタチで同棲をはじめたから。 ヨシはみずきにアキラを諦めさせるため、アキラもみずきから離れるため、お互いに利害が一致した上で付き合うことになったのだが…。 お互いに恋愛感情があるかどうかはあやふやなまま… とりあえず足りない部分を補い合う様な不確かな関係。 「違うって、この文なら冠詞はこれじゃないだろ」 肩ほど伸びた淡い栗色の髪を右耳にかけながらそう突っ込むのは今日も色白美人なアキラ。 「うるせー、何で大学行ってねぇお前に俺が教えてもらわなきゃなんねーんだ」 つんけんしているのは黒髪さらさらショート長身イケメンのヨシ。 日本人離れした深緑の瞳で偉そうに言うアキラへ不服そうに言い返す。 「間違ってるから教えてやってんだろ、つか、Englishはオレの方が出来る!」 「んだと!」 アキラは暇潰しに、勉強しているヨシの様子を見に来ては、口をはさんでいるのだ。 「非を認めて素直に教われバカ!」 「バカとはなんだバカとはっ」 ムキになるヨシだが… 「じゃ文法ぐらい解れよ」 依然強気な態度のアキラ、引くつもりはないらしい。 「はぁ…解りました俺が間違えてましたスミマセン」 ため息混じりに言うヨシ。 「すっげー棒読み」 「謝ったんだからいいだろ、次、次」 文句は言うものの、アキラにあっちに行けとは言わないヨシ、次の問題に取り掛かる。 「ったく…」 それをやれやれと隣に座って見ているアキラ。 「そういやお前、みずきに話した?オレらが付き合ってるってこと」 机に肘を立てヨシを見ながら、不意にアキラが聞く。 「いーや、お前は?」 ちらっとアキラを見返して答えるヨシ。 「一応は話したケド…」 「何を?」 内容が気になってもう一度アキラを見て聞く。 「まあ、ヨシと付き合ってるから諦めろって…つか、お前からも言うべきじゃね?」 「言おうと思ったけど、先にみずきが…」 ちょっと言いにくそうに詰まる。 「なんだよ?」

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