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2《みずき》
「アキラを大切にしてやってくれって…それだけ」
「…アイツらしいな、オレん時も…」
つい先日のこと。
ヨシと付き合い始めてすぐ…
みずきに打ち明けて…
『アキラ!なぜ…ヨシと…付き合うことにしたんだ?』
困惑した表情のみずき。
『別にオレの勝手だろ?』
『……、嫌っていただろ?ヨシの事』
未だに2人が付き合っているということが信じられず…そう聞いてしまう。
『別に』
『俺は…お前が、アキラのことが好きなんだ』
ずっと…何度も伝えて来た想い…
もう一度、願うように伝えるが…
『…ヨシと別れてお前と付き合えって?親友の恋路邪魔するんだ』
試すようにみずきに言うアキラ。
『それは…』
答えられず、沈黙してしまう。
ヨシが本気でアキラのことを好きなら…
そして、一番大切なのはアキラの気持ち…
『お前は略奪愛とかするような奴じゃないよな』
『……お前はヨシといて幸せなのか?』
『ん、幸せだよ』
あえて即答するアキラ。
『……、お前が幸せなら、俺は…』
迷いないその姿に…
言葉が続かない…
苦しい胸の内を、この感情をどうすればいいか分からない…
アキラが幸せであることが…一番だと…
自分を納得させるしか…
『ふ、お前はソンな性格だよな…』
『アキラ…』
『でも、お前にふさわしい人、きっと見つかるから、オレなんかより素敵な人が…だから前に進も、お互いさ』
オレなんかに惑わされてたら、みずきは幸せになれない…
お前はもっと普通の恋愛が出来るはずだから…
『……アキラ』
首を振るみずき…
ずっと一途にアキラを愛してきた…
大切に思って…
すぐに…想いを切り替えることは…
簡単にはできそうにない…
けれど…
ヨシは、昔から知っている…大切な友達…
良い奴だし…
俺よりも、見た目も頭もいい…
アキラがヨシを選ぶのは当然かもしれない…
もともと…アキラは優しさで俺に付き合っていただけなのだから…
ヨシが…
アキラを大切にしてくれるなら…
俺は…
『じゃ、な…みずき』
去りゆくアキラの後ろ姿をみて…
心に大きな穴が空いたように…何も考えられなくなるみずきだった。
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