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3《偽りの恋人》
みずきと話した時のことを思い出しながらアキラはぽつりと話す。
「本当に言いたいこと我慢してたように思えたし…」
「今更、みずきが可哀想とか言うなよ」
そんなアキラの様子を見て、ヨシが思考を止めるように言葉を挟む。
「言わねーよ、オレはお前の恋人。たとえ偽りでも…後悔はないから」
「……みずきの幸せ考えたら、こうするのが一番いいと思ったんだからな、俺もお前も」
ヨシはそう釘をさす。
「分かってるって、今は家に置いてもらってるし、色々助かってる」
少し俯いて、呟くように言うアキラだが…
「うわ、やけに素直!雨降るんじゃねーか」
ヨシは大げさに驚いて茶化してしまう。
「うるせーよバカ!」
アキラも反射的に言い返す。
「んだと~」
ヨシがアキラを捕まえ、言い返そうとした時…
不意にヨシの携帯電話が鳴り始める。
「あ、電話電話!」
アキラはヨシから逃れながら教える。
「ちッ、ハイハイ、もしもし~?」
『あ、俺だけど、今日遊びに行ってもいい?』
「ルードか!おう、飯作ってくれんなら大歓迎だぜ」
『OK!何食いたい?アキラもいるんだよね?』
「おう、ルードがなんか夕飯作ってくれるって」
電話しながらアキラに伝えるヨシ。
「え、マジ?久々に和食くいたい」
アキラも喜び希望を言っている。
「アキラは、なんか和食がいいらしい、」
『ヨシは?』
「俺は肉料理あれば嬉しいけど作ってくれんならなんでも食うぜ?」
『了解!買い物していくから少し待ってて』
「おー、材料費出すからな」
『サンキュー、じゃまた』
「うし、なんかうまいもん食えるぜ!」
ルードとの会話を終えてアキラに向かって言うヨシ。
「その前にこの問題集終わらせろよ」
「んだよ明日でいいだろ」
「英検準1級また落ちるぜ?」
「うるせー、てめぇも受けてみろよ!めちゃくちゃ難しいんだぞ!」
必死に言うヨシだったが…
「オレもう1級持ってるし」
さらっと言い返すアキラ…
「はぁ!?ムカつく~!」
「いいからやれ!」
「ぐぅ~」
声にならないうなり声を上げて、問題集に向かうヨシだった。
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