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第3話
「あっ、いけない!ぼんやりしちゃった」
ハッと我に返った僕は、慌てて朝の食事とお弁当作りに戻った。
僕が大学生になってからお父さんは単身赴任となり1ヶ月に1度くらいしか戻らないので、食事も今は僕とまぁくんふたり分だけでいい。
ちょっと寂しいけど、まぁくんが居てくれるから大丈夫。
それに僕も大学生になったし、お兄ちゃんの僕が寂しがってたらまぁくんもきっと寂しくなっちゃうから…。
僕は、益々広く感じる様になった部屋に少し小物を飾ったりして明るい雰囲気を作ってみた。
まぁくんも「いいんじゃね?」と言ってくれたから合格だ。
ちなみに毎日のお弁当作りには、もう慣れた。
料理も好きだから特別苦にもならない。
それに可愛い弟の為なら何でも出来てしまう。
僕は弟であるまぁくんを目に入れても痛くない位に可愛いがっていた。
そうしてお弁当を作ってテキパキと朝食の準備を整え終えエプロンを外した僕は、キッチンから2階の部屋へと戻った。
部屋の中を覗くと、まだ僕のベッドには大きな体を横たえて気持ちよさそうに寝ているまぁくんの姿があった。
毎日僕が起こさないと絶対に目を覚ましてくれないんだ。
小学生の頃は自分から起きるくらいに寝起きが良かったのに…まぁくんも学校で疲れてるのかな?
勉強もあるし、帰宅部でも帰りは自転車を漕ぐから疲れるんだろうな。
寝させてあげたいけど、もう時間だから…今から起こすお兄ちゃんを許してね、まぁくん。
僕はベッドの横へ膝をつくと、優しくその逞しい腕を軽く揺らした。
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