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淡い恋 2

「おはようござまいます」 「まぁ〜滝沢さん今日もダンディ♡」 「うーん、ダンディもいいですが、どうしたらもう少し若く見えますかね?」 「あら? やっぱりあの男の子のことが気になっているのね」 「ええっなんでそれを? 」 「だって分かるわよーねっ」  お母さんたちは皆、ウンウンと頷いていた。  参ったな。  芽生にも迷惑かけてしまうから、自らセクシュアル・マイノリティを明かすことはないと思っていたのに。 「あぁ私たちは大丈夫よ」 「参ったな。そんなに顔に出ていました?」 「それはもう……滝沢さんってば、いつもある一定の時間だけは井戸端会議から外れ上の空になるから、私たちその視線を辿ってみたのよ」 「……何が見えました?」 「向こうの坂を下ってくる可愛い社会人の男の子の一人に……『淡い恋』をしているのが分かったわ」  『淡い恋』だって?    そんな可愛い恋をするなんて。  でも、この歳になって初めてだ。  投げやりだった若い頃は、男も女も拒まなかった。軽い気持ちで躰を繋げ抱き合った。そして特定の恋人は作らずに、世間体のために簡単に女性との結婚を選んでしまった。全部自分が蒔いた種だ。  そんなひどいことばかりしてきた俺だから、すべて崩れ落ちた先にはもう未来はないと思っていた。    だが、そうじゃないんだな。  人生はやり直せる。  希望があれば── 「あっほら来たわよ。あらっ彼今日は一人だ……どうしたのかな」 「なんだか目元が腫れてるみたい」 「守ってあげたくなるわね」  女性は目聡いと、こんな時はしみじみと感心してしまう。 「ほらっ滝沢さんにも、チャンスが巡ってきたのかも」 「そっそうですか」 「最初に一歩を踏み出すのは、滝沢さんよ」 「頑張って!」  もしも彼が俺のことを見つけてくれたら、踏み出そう!  歩み寄らないと何も始まらないのは本当だ。  どうか……俺を見つけてくれ!   **** リンク先 『幸せな復讐』「通勤途中」 https://fujossy.jp/books/11487/stories/225691

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