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特別公開 番外編SS 『ふたりの渋谷デート』4
お知らせ
本日も仕事が多忙につき、番外編の続きになります。
スムーズに更新出来ず申し訳ありません。
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「じゃあ行くか」
「はい! 楽しみです」
一度酔いを醒ましたいというので、一旦ハチ公前まで戻り、目黒方面に向かってゆっくり歩きだした。
そう言えば、道玄坂付近には男同士でも使えるホテルが数件あったような。
頬を染めて俺の横を歩く瑞樹に、胸がドキドキと高揚してくる。
一緒に住むようになってから、芽生がぐっすり眠ったのを見計らってから俺の部屋で彼をこの腕の中に閉じ込めて、抱く。
瑞樹の躰からはいつも花のような良い香りが漂って、男の躰なのに甘美な甘さに眩暈がする程によかった。だからいつも彼が呆れるほど、求めてしまっていた。
瑞樹が俺で感じてくれている表情をじっくり見るのが好きだ。
だが寝ている芽生がふいうちで起きてきたことがあって以来、あまり大きな音も声も出せず、どこかお互いにセーブしている気がする。
特に瑞樹が乱れることが減ったぞ。
とにかく一度行ってみたかったから実行するのみか。
瑞樹とラブホテルに!
大学生の頃のような沸き立つ想いでどうにかなりそうだ。
好きで好きでたまらない存在だよ。君は……
「宗吾さん、実は僕……いい所、知っているんです」
「えっ?」
これは意外な展開だ。瑞樹の方から、ホテルに行く事を提案し、しかも場所まで指定してくれるなんて。
「どんな店だ?」
「あの……内装がシックで男同士でも落ち着く感じなので、ゆっくり出来そうかなと」
「行ったこと、あるのか」
「はい……何度かあります」
うっ……なんかショックだ。
男って……あれだよな。前の彼氏の翔の話だよな。
「あの、すみません。こんな話……嫌ですよね。でも本当にいい場所で、僕は一度宗吾さんと行きたいと思っていました」
「分かった。そこにするよ!」
こうなったら俺が上書きしてやる。
今日は瑞樹が意識を飛ばすまで抱き潰して……俺色に染めてやろう。
思い出は新しい思い出で塗り替える。
「いいんですか」
「あぁもちろんだ」
「よかった! 嬉しいです。あっ確かこっちだったような」
瑞樹の案内に従って、いよいよ道玄坂エリアに入る。
辺りにはホテルが点在している。
ここか? 違うのか。
じゃあ……こっちか。
瑞樹はためらわずに真っすぐに歩いて行く。意外と度胸あるな。
「あっ良かった。まだやってる! 宗吾さん、ここですよ」
「えっ……ここ?」
「はい? あの、何か」
瑞樹が微笑みながら指さしたのは、小さなBARだった。
なぬっ!?
「あの……宗吾さんも、もっと飲みたい気分だったんですよね?」
天使のような笑顔に、まさかホテルに連れ込もうなんて言いだせなくなってしまった。
「あぁ……まぁ、そのそうだ」
小さなBARはシックな内装で男二人でカウンターで飲んでも確かに違和感のない、落ち着く空間だった。
「何を飲む?」
「あの……そうですね。実は……今日はシェリーが飲みたい気分です」
瑞樹は目元を赤く染めて、そう告げた。
「ん?」
「あ……宗吾さんなら……この意味わかりますよね」
知っている……『今夜はあなたにすべてを捧げます』だ。
シェリーとはスペインのアンダルシア地方である地域で作られる白ワイン。瑞樹が注文すれば……「今夜はあなたにすべてを捧げます」という意味になり、俺が注文すると「今夜は寝かさない」という意味になる。
「俺もシェリーを一杯」
「あの、その……来る途中にいろいろありましたね。僕は一度も行ったことないので、わかりませんが……」
「いいのか」
「その……そうしてもらってもいいです、今宵は……」
幸せ過ぎるよ……! 瑞樹。
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