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その後の三人『春の芽生え』9

「さぁ、芽生くんもう寝ようね」  芽生くんはベッドに入ると愛おしそうに羊のメイくんと赤ちゃんを抱っこした。白い羊同士が芽生くんのほっぺたにくっついて可愛い光景だった。 「羊くんたち、かわいいでしょう?」 「うん、いつも一緒だね」 「まだ赤ちゃんだからね。あーお兄ちゃんがいると、やっぱりいいねぇ」  芽生くんが小さな手を伸ばして、僕の手に触れてくれる。もう眠たいようで体温があがってポカポカだ。   「そう言ってくれると嬉しいよ」 「お兄ちゃん、明日はお休みなんでしょう?」 「うん、だから芽生くんと一緒に過ごせるよ」 「やったぁ、じゃあ早起きするね」 「うん、じゃあもうおやすみ」 「はーい、お兄ちゃん、おててつないでいてね」 「うん」  小さな羊の赤ちゃんのぬいぐるみを見ていると、僕もこんな風に抱っこされていたのかなと不思議な気持ちになる。  母の胸の中はとても安全で温かく安らぐ場所だったのだろうな。僕は人見知りが強く内気な性格だったから、きっと大好きな場所だったにちがいない。    それにしても仕事で2日間帰って来られなかっただけで、僕はとても家が恋しくなってしまった。  恋しい家があるって、幸せなことだね。  愛しい人と過ごす家のありがたみを感じる夜だった。 「瑞樹、芽生眠ったか」 「あ、はい」 「おいで」 「はい」     宗吾さんに誘われてリビングの3人掛けのソファに座ると、冷えた缶ビールを渡された。 「ほら、飲めよ、大役お疲れさん」 「あ……ありがとうございます」  あの日一馬と並んで飲んだ缶ビールの味は、苦かったな。ああいうのを苦渋の味というのか。 「乾杯しようぜ」 「何に?」 「瑞樹の仕事の成功に」 「ありがとうございます。じゃあ乾杯」 「ぷはぁー! うまいな」 「あ……すごく美味しい!」  キンキンに冷えた缶ビールは喉ごしもよくキレがあって、美味しかった。 「宗吾さんは、ほどほどにですよ。また靴下はき間違えてしまいますから」 「あれはファッションだ」 「……くすっ、もう開き直って」 「瑞樹、ビール味のキスをしうよぜ」  宗吾さんが身体を寄せてきて、僕の胴体に腕をぐるっと回した。 「そ、宗吾さん?」  あっと言う間に宗吾さんの逞しい腕に抱きしめられていた。  あぁ、この腕が恋しかった。  キスをした。  唇を合わせると、腰が痺れる深いキスを。 「ん……っ」  夢中で互いの唇の感触を味わっていると、ビールの苦味は最初だけで、すぐに吐息が熱く甘くなってくる。 「甘くなってきたな」 「……はい」 「もっと」 「んっ」  顎を掴まれ熱烈なキスを受けると、宗吾さんもこの2日間僕を想っていてくれたことがダイレクトに伝わってきた。  嬉しい、嬉しくて泣きそう。  僕の背中を抱いていた宗吾さんの手が、じわりと動く。  僕の下肢に伸ばされた手は、進む方向に少し彷徨ったあと、 「おっと、尻はぶつけて痛いんだったよな。だからこっちにしよう」 「えっ」  僕の股間をいきなり掴んできたので、恥ずかしくなった。  バレてしまう。  宗吾さんのキスだけで、節操もなく昂ぶり始めていたことがバレてしまう。 「瑞樹、反応がいいな」 「い、言わないで……ください」  最近仕事が忙しくてシテなかった。(といっても1週間ほどの話だが)だからそこを握り込まれると、気持ち良くて……声を漏らしてしまう。自然に腰を揺らしてしまうよ。 「あっ……あ」 「可愛い声だな」 「も、もう……」  パジャマのズボンの中に手を入れられて直接指の腹でぐるりと撫でられて、喉を反らしてしまった。反らした剥き出しの喉は宗吾さんの大好物だから、喉仏をべろっと舐められてしまい、過敏に震えてしまった。 「ここ、弱いよな。瑞樹の反応が良くて、溜まらないよ」 「駄目……ここでは」 「芽生は眠っているだろう」 「あ……そ、宗吾さん、イヤ……っ」  宗吾さんに直接触れられるとだけで、下半身に熱が集まり苦しくなる。  ソファに押し倒されそうになった所で、突然子供部屋の扉がカチャっと開く音がした。 (え!) (まずい、君は寝たふりをしろ) 「おしっこ~、ムニャムニャ」 「お? 芽生、トイレか」 「んー、漏れちゃう」 「よしよし急げ」 「パパ? お兄ちゃんは?」 「瑞樹はソファでうたた寝しちゃったよ」 「えー、お布団、かけてあげてね」 「そうだな。もうベッドにつれていくよ」  そんなやりとりが聞こえ、僕はソファでブランケットに包まったまま震えた。 (まずい、まずい、静まれ!)  暫くすると、宗吾さんが戻ってきた。 「おーい、瑞樹、息してるか」 「あ、あの……大丈夫でしたか」 「寝惚けていたよ。もう一度寝かしつけたから大丈夫だ。さぁ俺たちの寝室に行こう」 「あ……」  横抱きで連れて行かれ、ベッドにそっと寝かされる。  宗吾さんが大人しいのはそこまでで、ガバッと覆い被さってきた宗吾さんから再び激しいキスを受けた。 「んっ……あ、あっ……」  深いキスをされながら下半身を高められ、更に窄まりに指を挿入されてしまった。  たまらない気分になり、無意識のうちの首を左右に振っていた。 「いやか。瑞樹は明日休みだろう? このまま抱いていいか、1週間……我慢した」 「イヤじゃないです……」 「よかった」  宗吾さんは、今日は特に熱心に指で……僕の中を解す。 「1週間しないと、君のここ、慎ましく閉じてしまうんだ。堅い蕾はしっかり解さないとな」 「あ……っ、あっ」  宗吾さんが僕の顔中にキスを落としながら、挿入した指で僕の感じる箇所を刺激してくる。もう何度も抱かれたから感じるスポットを把握されているので、的確に突かれ、我慢できずに腰を揺らし、足をシーツにジタバタと擦りつけてしまう。 「もう、もう……」(挿れて欲しい……) 「まだ駄目だ」 「え?」 「こっちも欲しい」  パジャマの釦を外され、はだけられ……胸の突起を指の腹で弄られ、摘ままれ、擦られる。 「いや、いや……そこ、いや……」 「可愛い。胸を弄ると、途端に幼くなるよな」  今度は唇で吸い上げられてしまった。痙攣するように感じてしまう。 「あああっ……」 「可愛い顔、可愛い声……瑞樹のここ、美味しい」  僕は男なのに、胸を吸われると、まるで母性が目覚めるように……胸を吸う相手を愛おしく想う感情で満ちてしまう。  だから宗吾さんの背中に手を回して、そっと抱きしめた。 「ん……、そうくん、そうくん……っ」 「瑞樹、その声、来るな」 「あ……ううっ」  脚を左右に割られ……宗吾さんの猛ったものを一気に埋められた。  ローションを足され濡れそぼった入り口に、ずぶっと挿入された。   「あっ……熱い」 「吸い付くようだ」 「熱い……熱いです」  そのままふたりは一つになり、揺れていく。   逞しい宗吾さんの腰を打ち付けられ、僕は頭の中が真っ白にスパークしていく。  宗吾さんを全身で受け止める、この行為が好きだ。  僕を求めてくれる宗吾さんが好きだ。 「そ、そうくん……も、もうイキたい」 「俺もだっ!」  ****  目覚めると、身体の奥にまだ宗吾さんがいるようだった。  まだ全裸で、シーツに擦れると尖ったままの胸が刺激を受けて、声をあげてしまった 「あぁ……っ」 「瑞樹、大丈夫か」 「あの……僕……」 「意識を飛ばしていたな。ごめんな。激しかったか」 「いいえ……」 「よかったよ」  恥ずかしい質問に、耳朶を染めてコクンと頷いた。 「ここ、まだ尖っているな」  ツンっと指で胸の突起を弄られ、前屈みになって震えてしまった。 「駄目、駄目です! 『大きな赤ちゃん』は今日は封印シテ下さい‼」 「へ? なんだっけ。それ?」 「あっ! な、なんでもないです」 (しまった! 余計なこと言った!) 「あぁそうか。なんだ期待していたのか、ここ、弄り足りなかったか」 「あ……」  宗吾さんが顔を寄せてくる。  そのまま剥き出しの平らな胸を吸われると、何故だか涙が溢れてきてしまった。 「瑞樹、どうした? 何故泣く?」 「分からない……です。分からないけど……宗吾さんに吸われると……愛おしい気持ちが涙になって溢れてしまうから……」 「可愛いことを……」  この人に抱かれると、自分も相手も大切で愛おしくなる。  そんな営みだと想った。                    『春の芽生え』 了 あとがき(不要な方はスルーです) ****  Rシーンを久しぶりに丁寧に書いていたら、3000文字になってしまいました。萌えながら書いたので、キュンキュンしていただければ嬉しいです。  お話しはいよいよ明日から入学式に向けて進みます。少し展開していきますね。結局、完結後1週間ほどのお休みだけで、毎日また書いていますね(..;)  私が宗吾さんと瑞樹、芽生くん、彼らを取り巻く人が好きすぎて……♡ お付き合いして下さる読者さま、いつもありがとうございます。    BOOTHで特別番外編『天上のランドスケープ』をご購入下さった読者さま、ありがとうございます。今日もありがとうございます。有償だったのでご満足いただける内容になっているか心配でしたが『購入してよかったとしみじみと思っています』というお言葉を沢山頂戴できて安堵しています。今回の頒布を励みに精進します!

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