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特別番外編 『ある日の僕』

 本日……終日外出するため、短い特別番外編になります。(といっても1600文字になっていました😌)本編はとても大切なシーンなので、明日落ち着いて続きを書きますね。本日はコメディタッチなので、お気楽にお楽しみください💕 『ある日の僕』 **** 「葉山、今日のランチは外に行こうぜ」 「珍しいな」 「ちょっと買いたいものがあってさ」 「またお饅頭? それとも最中? 今日はどこまで付き合わされるのかな?」  からかうように言うと、菅野が照れ臭そうに笑った。 「へへ、東銀座にある『海也最中』っていうのが有名で、一緒に並びに行こうぜ! なっ、頼む!」 「くすっ、いいよ」  今年の夏、親友の菅野が、突然恋に落ちた。  相手はとても可愛い小坊主くん。  あんこが大好きな食いしん坊、子栗鼠《こりす》みたいな子で、あの菅野がデレデレになっている。  何より嬉しいのが、菅野が幸せそうにしていること。  しかも小森くんは月影寺の小坊主くんなので、洋くんたちとの縁が更に繋がり、まるで家族ぐるみのような付き合いを、菅野と出来ることが嬉しい。 「でもさ、そんなにあんこを食べてばかりで、小森くんは太らないの?」 「こもりんは小柄で細っこいから、もうちょっと太った方がいいのさ」 「なんで?」  意味も無く気軽に聞くと……菅野が「それはその、その……そのだなぁ……」と言葉に詰まってしまった。  そこではたと気付く。 「菅野……もしかして、もっと……進んだ?」 「え! あ……わー、それを真っ昼間から聞く?」 「あ! ご、ごめん! 忘れて」  ぼ、僕、何を聞くつもりだったのか。  菅野と小森くんがチューをしたと聞いた時、あんなに赤面したのに、そんなことに興味を持つなんて恥ずかしいよ。 「へへ、何だか俺たちテンションあがってんな」 「ぼ、僕は別に」 「嬉しいよ」 「え?」 「葉山とこんなプライベートな話が出来るようになってさ」 「う、うん」 「なぁ、今度また遊びに行っていいか」 「いいけど」 「やった! 宗吾さんに話があるんだ」 「また?」 「俺の師匠だから」  菅野と宗吾さんが話している内容を想像し、頬が火照ってきた。  まるで僕らの情交を覗かれているようで、恥ずかしいんだ。 「宗吾さんってさ、いろんなアイテムを知っているよな」 「アイテムって……え? 僕はそんなの使われたことないけど……あっ」  墓穴―― 「葉山? あ、おい、まさか変な想像した?」 「し、してない! 僕は練乳どまりだって!」 「ちょっ!」 「あっ!」  ううううう、更に墓穴だ。 「も、もう行くよ」  ぴゅーっと消えたいほど恥ずかしい。  なんだか最近の菅野って、宗吾さん化してないか。気をつけないとヘンタイ道まっしぐらだぞ。 「待て、待てって~ ほら付き合ってくれたお礼だよ」 『海也最中』を手土産に自宅に戻ると、宗吾さんがすぐに見つけてニヤッと笑った。 「どうかしましたか」 「これ、菅野がお礼にくれたのか」 「まぁそうですが」 「じゃあ、俺の伝授は成功したのか」 「今度は何を伝授したんです?」 「内緒さ」 「もう……っ」 「みーずき、そう怒るなって、彼、素質があるよ」 「何の? あ……待って、言わないでいいです!」    僕の恋人は、僕を今日も甘やかす。    僕は溺愛されていると自覚してしまうほど、愛されている。  僕は、宗吾さんの包み込むような大らかな愛が愛おしくて嬉しくて、とても居心地の良い場所をいつももらっている。  裸にされ布団に巻き込まれ、宗吾さんの温かな手の愛撫を受けていると……  脇腹あたりで手の動きが止まった。 「あれ? 瑞樹、ちょっと太った?」 「え?」 「さては、菅野につきあって、あんこばかり食べているからなぁ」  ガーン! 確かに痩せすぎだった身体が、少しだけ肉付きよくなったような? 「あ、勘違いするな。抱き心地がいいって意味だぞ」 「も、もう……知りません」 「おいで、どんな瑞樹も好きだよ」 「宗吾さんこそ、練乳の食べ過ぎで太りますよ」 「練乳? お、今日もご所望か」 「ち、違いますって!」  その後、僕たちは一度大笑いして額を合わせて見つめ合った。 「あいつらに負けないように……あんこに負けないように、俺たちも愛し合おう」 「はい……」  そこからは、宗吾さんが力強く僕を求め、僕も彼に夢中になった。  好き、好きという気持ちで、頭の中が一杯になる。  宗吾さんに酔いしれて、恋に溺れて――

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