906 / 1737

ハートフル クリスマス 7

 僕が僕のために作った花束をもらった時、心が震えた。 「宗吾さん……カッコいいです」 「嬉しいよ、瑞樹」  僕をそのままうつ伏せに寝かし、ボディクリームで身体を丁寧にマッサージしてくれた。 「ずいぶん肩が凝っているな」 「ん……気持ちいいです」  僕は彼に身を委ねながら、枕元に置いた真っ赤な薔薇の花束をちらちらと見つめて幸せな心地になっていた。  赤い薔薇の花言葉は―― 「あなたを愛してます」「愛情」「情熱」「熱烈な恋」  求められている、この身体を、この心を、僕の全てを。 「瑞樹、次は前な」 「えっ」  うっとりとぼんやりとしていると、身体をひっくり返され……宗吾さんに下着の上から下腹部を撫でられて、カッと恥ずかしくなった。 「もう勃ってるな」 「い、言わないで下さい」 「嬉しいよ。それだけ腕がいいってことだろ?」 「狡いです」  そっと宗吾さんの下腹部も撫でると、僕と同じ状況になっていた。 「お、おい、よせ」 「どうしてですか」 「俺はいいから、君に気持ちよくなってもらいたい」 「一緒がいいです」  布越しに昂ぶる熱は、どこまでも熱かった。  僕の方から宗吾さんの肩を引き寄せてキスをした。積極的に舌を絡ませると、宗吾さんも応えてくれた。 「……ぁっ……んんっ……」  あぁ、ようやく宗吾さんに触れられた。  もう止まらない。僕……宗吾さんが欲しいです。 「瑞樹がそんなに積極的に仕掛けてくれるなんて、嬉しいよ」 「だって……欲しいんです。ずっと欲しかったから」 「昨日もしたのに?」 「一度だけでした」  正直に言うと、物足りなかったんだ。  もっともっと宗吾さんの匂いを感じていたかったし、中を暖めてもらいたかった。  僕……いつからこんなになったのだろう?  だから今宵……どこまでも宗吾さんと睦み合えるのを楽しみにしていた。 「積極的な君もいいな」 「あっ」  下半身を自ら持ち上げて宗吾さんの下腹部に擦りつけ、腰を揺らしてしまったことに、頬が火照った。 「いいよ。もっと揺らしてくれ」  真っ赤な薔薇は熱烈な恋だ。自分が作ったアレンジメントに煽られるように、僕は腰を振っていた。 「可愛い……可愛いよ」 「好きです、好きで溜まりません」 「嬉しい、嬉しいよ」  ギュッと抱き寄せられ、剥き出しになった胸を大きな手で撫でられるだけで、ピクピクと身体が震えた。下着を下ろされると、昂ぶったものが露わになった。 「もうベトベトだな」 「あああ……触らないで。出ちゃいます。駄目っ」  必死に頭を振って抵抗するが、そこをパクッと咥えられて狼狽えた。 「駄目……本当に……出ちゃいます。宗吾さんを汚しちゃう」 「馬鹿だな。君のが欲しくて啜ってんだ」 「あっ……駄目、もうイキそう……」 「可愛いよ。出して」  濡れそぼった性器の先端を突かれ吸われると、もう抗えなかった。 「駄目……離して」 「いいから」 「あっ……いやぁ……っ」  宗吾さんの愛撫に、ぐずぐずになりながら達してしまった。  今日1日頑張った。  会いたい気持ちを封印して頑張った。  だから触れて欲しかった。  抱いて欲しかった。  宗吾さんの手で、僕は膝を折られ、腰を浮かされた。 「あっ、そこはイヤ」  蕾を舌で解されているのか……流石にこれは羞恥に震える。  宗吾さん自ら、僕を濡らしていくなんて。 「もっとか」 「も、もうっ……大丈夫……もういいからぁ」  もうグズグズになっていた。  狭間を濡らして指で辿られ、いつの間にか用意されていたローションでぐちゃぐちゃにされる。 「あ……もう、もう欲しいです」 「いいか、君のここに入っても」  下腹部を撫でられ、ぷるぷると震えた。  そのまま大きく足を開かれ、宗吾さんの逞しいものを根元まで迎え入れた。 「あぁ――」 「痛くないか」 「ん……んっ、だいじょう……ぶです」  キュウキュウと僕の蕾が宗吾さんを呑み込んでいく。 「すごいな。熱いよ」 「あっ……はぁ……っ、ふぅ……っ」  呼吸を整えていると宗吾さんと目が合った。 「俺……今、瑞樹の中にいるよ。分かるか」 「はい……」  恥ずかしかったがコクンと頷くと、宗吾さんが破顔した。 「きつくないか」 「きついけど……気持ちいいです。宗吾さんでいっぱいです。あっ、んんっ」  探るように腰を回されて、震えるポイントを的確に突かれ、腰が跳ねた。 「あ……やっ、やっ、そこ……」  身体を揺さぶられ、宗吾さんの下腹部都に擦られる僕の性器からはとろとろと雫が流れていた。 「ん……またイクっ」 「一緒に!」  口づけを交わしながら、僕たちは船を漕ぐように揺れた。  愛情の海を渡る小舟のように、ゆらゆらと揺れながら愛を重ねた。  部屋にはむせかえるような薔薇の香り。  僕の汗ばんだ身体から立ちこめるのは、野に咲くスズランのような香り。  二つの香りが混ざる中、僕たちは求愛しあった。  クリスマスの夜を、どこまでも二人で。  この世で一番近い距離で過ごした。  *****  翌朝、洗面所で歯を磨いて顔を洗っていると、小さな足音が聞こえた。 「ん……? 芽生くん?」 「お兄ちゃん、はい、タオル」 「ありがとう」  真っ白なタオルで顔と手を拭いている間、芽生くんがニコニコと僕を見つめていた。 「どうしたの? なんだか恥ずかしいよ」 「あのね、おててかして」 「ん?」  訳も分からず手を出すと、芽生くんは『RーGRAY』のハンドクリームをぺたぺたと僕の指1本1本に丁寧に塗ってくれた。 「だめだよ。うごいちゃ、じーっとしていてね」 「う、うん」 「えへへ、お兄ちゃんにぬってあげたかったんだ。なのに……ボク……きのうねちゃって」  小さな手が僕の手を包む。その淡い温もりにが可愛くて、また泣きそうになる。  大きな手に守られ、小さな手に慕われている。  ここには、僕という存在を求めてくれる人がいる。  そんな幸せに改めに気づかされる、僕たちだけの……クリスマスの朝だった。     

ともだちにシェアしよう!