2 / 7
遥と資金洗浄
遥は受け取った500円玉を改めて観察した。
「ふうむ。全体的に曇ってますのん。せっかく愛しのキャベツからもらったんだから、ピカピカに資金洗浄したいんだわー」
物置へ行くと、掃除道具のワゴンがある。家政婦のむにさんが掃除のときに使うワゴンで、必要な道具が効率よく並べてあった。
「♪さがしものは、なんですかー? みつけやすいものですよー! ワゴンのなかのひきだしのおく、さがしたから、みつかりましたの! ぴかーる! ぴかーる! ぴかーる! あぁーあー♪」
その名も『ピカール』という研磨剤を取り出して、ウェスの上に置いた500円玉に塗布する。
「♪キュッ、キュッ、キュッ、キュッ、キュッキュキュッ! キュッ、キュッ、キュッ、キュッ、キュッキュキュッ! クエースチョン、クエースチョン、キミはだれ? はるかちゃんよ! クエースチョン、クエースチョン、ぼくはるかちゃん!」
キュッキュッ、キュッキュッと言いながら磨くうちに、汚れは全部ウェスに移った。
さらに水で洗い流し、ウェスのきれいな部分で水気を拭うと、500円玉はきらきらと光るようになった。
「おーいえー! 遥ちゃんの資金洗浄は完璧なのん!」
親指と人差し指で挟んだコインを動かし、光の反射を楽しんだ。
ともだちにシェアしよう!