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遥とオリーブの首飾り

 遥はドレッシングルームへ飛び込むと、コスプレ衣装の引き出しを引っ掻き回した。 「あったのーん」  遥は網タイツを穿き、うさぎのしっぽがついたハイレグの衣装を着て、その上から燕尾服を着た。頭の上にはうさ耳のカチューシャも装着する。仕上げにハイヒールを履いて背筋を伸ばし、歌いながら書斎へ入っていった。 「♪ちゃらららららー、ちゃらららららーららー♪」 書斎を片づけ終えて読書していた稜而の前に立つと、うやうやしくお辞儀をする。 「ちゃらららららー! これから遥ちゃんが、マジックをご覧に入れますのん! 拍手ーぅ!」 稜而か拍手をすると、遥は満足気に頷いた。 「手のひらから、手の甲へ、500円玉が貫通しますのん! もし上手くいかなくて、手の中でコインが詰まっちゃったり、穴が空いたまま戻らなかったり、血がいっぱい出たりしたら、整形外科の稜而先生が治療しなくちゃいけないから、しっかり待機していてくださいませませー!」 「なるべくスパッときれいな切り口にして欲しいな」 稜而はふっと前髪を吹き上げて笑った。 「♪あおいそーらーは、はーるかのーこいのいーろ。カ・ル・ピ・スーは、りょうじのー……♪ やーん昼間だからこれ以上は内緒なのん。♪ちゃーらーらー、ちゃららーらーらー♪」 BGMを歌いながら、右手のひらの真ん中に500円玉を載せ、小指から順番に指を折ってコインを握る。その拳を伏せて、手の甲に左手を指先を揃えて重ねた。 「おててをゆらゆら上下に揺らして助走をつけてー、一気にいきますのん。トロワ、ドゥ、アンっ!」 握っていたコインは人差し指と親指の隙間から勢いよく天井に向かって飛び出し、遥は床を転がる500円玉を追い掛けて掴まえて、右手の甲の上にぺたんと置いて、稜而に見せた。 「手の甲をすり抜けるときの勢いがよすぎたのん! でもでもおかげさまで怪我はないわ! しゅってなったから、しゅって一瞬だったから、怪我する間もなく通り抜けたのん! 嘘じゃないわ、ほんとよー!」 一生懸命誤魔化す遥を、稜而は笑顔で引き寄せて、自分の膝の上に座らせた。 「素晴らしい手品だった。医師国家試験を受けるまでには、医学的な正しい知識を身につけたほうがいいけど」 稜而の唇が遥のバラ色の頬に触れると、遥は嬉しそうに肩を揺すった。

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