「久しぶりだな、椿」 　二年ぶりに見たその顔は、とても嬉しそうだった。 　久々に俺に会えたことが、そんなに嬉しいことだったのかと俺も笑みを浮かべたが、それは違うと直ぐに分かった。 「椿、俺、来月結婚するんだ。しかも、出来ちゃった婚」 　二十歳になって初めて入った居酒屋で、目の前に座った親友が言った。 　名前は森光敬浩、俺の高校時代の同級生で親友で、俺の……片想いの相手だった──。