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第4話

「我慢……しなくていいってことか……」 「政宗?」 「キス……以上していいんだろ?だったら俺ももう我慢しない」 抱きしめたまま、亜季の耳元でそう囁くと戸惑うように再び名前を呼ばれた。 「亜季は、少し勘違いしてる。まぁ、俺が言葉足らずだったのが悪いんだけど。俺は……亜季にもっと触れたかった。けど、亜季のことを考えるとまだ早いと思って……だから必死に我慢してたんだよ」 「……えっと……それって、避けられてると思ってたのは……」 「我慢してたのが、亜季からは避けてるように感じたんだろうな……だから、違うんだ」 「そう……だった、のか……」 超えちゃいけないラインを必死に守っていたけど、それももう…… 「亜季……愛してる。記憶を無くす前の亜季も勿論愛してた。けど、今はそれ以上にお前が大事だし、愛おしい」 「俺……すげー愛されてるってこと?」 「当たり前だろ」 よかった……と、背中越しに聞こえた声が少し震えているようで、俺は馬鹿だったと改めて自分を責めた。 ** 「本当にいいのか?」 「前は何度も抱いた身体だろ?別にそんな改まらなくても……」 「前とか言うなよ。確かに何度も抱いたけど、久しぶりだし緊張するだろ、普通」 「案外、政宗って小心者だよね」 こういう時、亜季の方が肝が据わってるというか……それは昔から変わらなくて、それもちょっと嬉しい。 「何ニヤニヤしてるんだよ?」 「いや、亜季は亜季だなぁ~と思って」 「なんだよそれ。しないなら寝るからな」 「ダメに決まってるだろ」 「じゃあ……ッ……ん……ッ」 俺たちがそんな会話で笑い合える日が来るなんて…… 亜季の口を塞ぎながら、その唇を、その幸せを噛み締めながらぼんやりと思う。 そしてベットへその身体を沈め、あの頃のように俺たちは夢中でキスを繰り返した。 「……ッ……おも、い……ッ」 「余裕ないの……ッ……わかるだろ……ッ?」 唇から、首筋、鎖骨……と、キスを落としながら舌先で亜季の白い肌を味わう。 久しぶりに触れた肌は温かくて、荒い呼吸と一緒に上下する様が俺を一気に高ぶらせた。

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