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side 比呂 俺の恋愛対象は初恋した小学生のころからずっと同性だった。小さい頃から本の虫だった俺は、読んでいる絵本や小説で出てくるカップルがみんな男女だったから、幼いながらにも俺が可笑しいということは分かっていた。 だから、誰にも気づかれないように、誰にも話さず静かに恋を楽しみ、静かに失恋をしていた。 それなのに中学に上がってトモくんと出会い、恋をし始めた頃、家族に知られてしまった。同性恋愛の小説を読んでいたのもあるし、ネットで俺と同じような人たちのブログを読んでいたから遅かれ早かれ知られてしまう運命だったんだろうけど焦った。 知られてしまってからというもの、家族から、これは病気だからと病院に連れていかれそうになったり、それを拒絶して逃げて怒られたり、責められる日々を送っていた。 「お前は病気なんだ。病院に行けば普通になれる」 病気なんかじゃない。これが俺だ。 「そんなものばかり読んでいるから、頭が可笑しくなったのよ」 小説も漫画も関係ないよ。むしろこれらのお陰で自分が他と違うことに気づけたよ。今までいじめられずに平和に生きてこれたんだよ。 口に出して言い返す気力は直ぐになくなって何を言われても言い返さなくなった。それでも向けられる言葉は変わらないからストレスが溜まってくばかり。次第に食べ物の味は分からなくなり、遂には食べられなくなった。 俺が食べなくなっても家族は気にしなかった。 ただ反抗しているだけ、学校では普通に食べているとでも思っていたから。 実際、学校ではトモくんがいたし、先生の目もあるから食べるだけ食べていた。勿論、昼休みにそのままトイレに吐きに行っていたのだけど。

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