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第2話

俺の家族は、妹だけだ。 彼女とは二卵性双生児で、けれども服を交換すれば、見分けがつかないぐらい、そっくりだった。 両親は、二人ともそれぞれ、過労で体を壊して亡くなっている。 今は、親戚だという中年夫婦に引き取られているが、彼らと両親が生きている間に出会っていた記憶はない。 この夫婦、妻は仕事だと言って、滅多に帰ってこない。 代わりに、家にはずっと夫がいるわけだが、こいつがくせ者だ。 昼間っからずっと酒を飲んでいて、酔っぱらっては暴れるのだ。 瓶を投げたり、腹や背中を蹴られるのは当たり前。 俺はよく、妹をかばって殴られ蹴られたが、そのたび生意気だとかなんとか罵倒された。 その日も、単に殴られ蹴られ、痛みを我慢すれば終わるだろうと、必死で妹をかばっていたが、いつもと違うものを、ヤツは持ち出した。 「気に入らねぇ、気に入らねェンだよォ!」 そう言って振り上げたのは、包丁。 鋭い痛みのあとの記憶が思い出せない。 俺は、ちゃんと妹をかばいきれたんだろうか? それだけが、前世での心残りだな。

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