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第1話

荒い息遣い。はくはくと空気を求めながら、ときおり淫らな声が漏れる。 「もっと、もっと、あっそこっ、ン、イイッ」 揺れるパイプベッドの上で男二人が交わっていた。彼らがいるワンルームアパートの部屋の隣人は、現在仕事に出かけている。 両脇の隣人は夜の仕事らしい。普段は夜の間、部屋にいない。 つまり、ヒロとマモルは声を抑えずにセックスしても、壁ドンされることはなかった。 上下に住む人は面識もない。文句があるならとっくに言いに来てるはずだ。 マモルの後孔からヒロはずるり、とペニスを引き抜いた。緩くなったゴムの中には白濁が溜まっている。 「はー、ヒロもっかい」 腹の上に溜まった自身の精液を指に絡めながらマモルは言った。 「新しい箱開けるから待ってろ」 「ナマはダメ? 直接体温を感じたいなぁ。あっついヒロのちんこからびゅーってせーえき出るとこ中で感じたい」 「ダメだ」 ヒロはマモルの言ったことを想像してごくり、と唾を飲み込んだ。一瞬だけ止まったゴムを開封する手はまた作業に戻った。 「ヒロだってやりたいくせに」 中々外箱のビニールが外せないらしく、爪でカリカリ引っ掻いている。 ヒロの爪は綺麗に整えられている。僕を傷つけないために。 「お前の性欲と体力は底なしだな」 他人と比べたら性欲と体力はある。今までヤってきた相手には「もうムリ」と言われた。僕は中途半端に消化された欲を放置されることが殆どだった。でも、僕だって満足したい。 数をこなして僕に付き合ってくれるだけの人を見つけた。それがヒロだ。 「もしかしてヒロはもう疲れちゃった?」 ヒロのチンコは萎えてる。でもすぐに勃つのを僕は知ってる。 「平気だよ。それに今やめたら他の奴のトコ行くだろーが」 「僕だって満たされれば行きたくないんだよ」 「あーそうですか」 ヒロは鬱陶しそうに返事をした。 「ヒロのチンコはデカくないけど、テクがあるから結構好きなんだよ」 「そりゃどーも。お褒め頂き光栄ですー。ほら、やるぞ」 いつの間にかコンドームを準備して、ついでにチンコも半勃ちに準備したヒロは僕に覆いかぶさった。

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