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第2話

あれからもう数日が経った。 どうやら僕は事故に遭い一ヶ月以上も眠り続けていたらしい。 ただ、残念なことに僕は僕のことに関して知っている事がほぼ無い。 一ヶ月ほど前に事故に遭い、一人称が僕。 名前は城田 智大(しろた ともひろ)。 これくらいだ。 何故か誰も面会に来ないし、貴重品などもない為これ以上分かることはなかった。 「城田さん、大分容態も安定なさってきましたから、明日からお部屋変わりますからね。」 看護師さんが僕に話しかける。 僕はただ頷く。 可笑しなことばかりで全く謎が解けない。これが推理小説なら伏線も何もなさ過ぎて面白さのカケラもない。 どうして貴重品もないのに看護師さんは僕の名前が分かるんだろう。 どうして僕は事故に遭ったんだろう、言葉は分かるのに記憶がないんだろう。 次の日僕はベッドがひとつ置かれた個室に移った。 元々いた場所は集中治療室と呼ばれるところで、重篤な患者が入るところらしい。僕もドラマでは聞いたことがある。 どうやら僕は内気な性格らしく、分からないことは沢山あるのに看護師さんを目の前にすると何も聞かなくなってしまう。 昨日までは度々来てくれていたその看護師さんも、今日からはあまり来てくれないらしい。 コンコン 突然の音に体がビクついた。 誰だ? 声もかけずにノックをされたのは初めてだった。看護師さんは必ず何か言いながらノックをする。 「ど、どうぞ」 久々に返事以外の言葉を話した気がして、上手く声が出せない。 カラカラと音を立てながら、そっと開く扉。 そこには大柄の男が立っていた。 「智大……」

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