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第6話
咲良が遥の隣に座る。
いつもの事なのに、今日はどことなく緊張した気配が伝わる。
その気配に遥もまた緊張した。
「あの…さ、大事な話って何?」
いつまでもこの空気に耐えられない。
遥は両手を組み、咲良の言葉を待つ。
咲良は一呼吸置いて、隣の遥かに向き合った。
真剣な表情。
決意をした目。
「大切な話をするから、よく聞いて欲しい」
遥は頷く。咲良は続けた。
「一生……遥のそばに居たい。一緒に生きていきたい。遥さえ良ければ……籍も」
だから、と咲良は繋げる。
「だから、もう手紙とか受け取らないでくれ。オレは遥から離れないから、試すようなことはしないで欲しい」
「何言って……?」
「高校を卒業したら、ここで一緒に住んで欲しい。大学卒業したら……籍を一緒にしよう」
予期しない言葉が咲良の口から、紡がれていく。
言葉が出ない遥かに咲良は、苦笑して言葉を足す。
「オレからのプレゼントは、プロポーズだよ。遥、誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、本当にありがとう。……遥の返事は?」
ほんの少しだけ気弱な疑問形。
答えなんて一つしかないけど、そしてそれは咲良も知っている。
それでも、一生となると咲良は不安になのだろう。
(そうか、不安なのは僕だけじゃなかったのか)
安堵、喜び、幸せが遥の胸に溢れた。
「遥の返事は?」
「……ありがとう、とても嬉しい。喜んで一生そばにいたい」
この部屋でずっと一緒にいられる。遥は嬉しさに涙をこぼした。
【End】
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