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第5話

 幸せなのに不安がつきまとう。  黙っているのもつらくて、遥はどうでもいいことを話す。 「毎回思うんだけどさ、この部屋で一人暮らしは広過ぎないか?」 「まぁ……確かに広いかな」  シンプルなソファーとローテーブル。  これがワンルームなら、納得するけれど……この部屋の他に個室があるのだから、贅沢だなと感じる。 (やっぱり、家族が戻ってくるのかな?)  ここに咲良の家族が戻ってくるなら、気軽にこうして泊まりに来るのは難しい。  ただの友人なら気にしないけど、遥にとって咲良はすでに失えない恋人だから。  嘘でも友人だと言われたくないし、言いたくない。  遥はふかふかのソファーに座る。  包み込まれるようなソファーは遥のお気に入り。  薄いベージュ色も。  この部屋はナチュラルな色合いに整えられて、観葉植物がアクセントになっている。 (自分の部屋より居心地が良いから、タチが悪い)  日々、咲良に…咲良の空間に遥は飲み込まれていく。  それもまた幸せだ。

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